第3話 変態も辛いよ

みなさんこんにちは、松岡です。桜田丘高校一年2組の松岡健吾です。高校生活本当に楽しいですね。えっ?何が楽しいか、ですか?そんなのもう沢山ありますよ。周りの人からのさげすんだ目線、誰からも避けられる状況、ヒソヒソと飛び交う作られた噂話などなど凄いことになってるよ。

「ねえねえ、知ってる?松岡、クラスの女子の胸ばかり見てるらしいから気をつけようね。」

「そうそう、下着のラインとかいやらしく見てくるからさ。」

「本当、変態だよね。」

どうしよう、こんなの本望じゃないのに。なんでだろうなぁ、どこから間違ったのかなぁ。

そう思いながら俺は静かに教室を去った。

放課後、俺は浅加幸平と瓦野町に行くことになった自転車を学校の最寄りの駅におき、電車で移動。目的は瓦野町でのショッピングだ。なんでも幸平が服を買いたいらしく、1人で行くのも暇だからと誘ってきた。周りは変態として扱うため相手にしてくれないのだろう。俺もそんな感じだから一緒に行くことにした。電車に乗るのは久しぶりだなぁ。周りを見ると下校する生徒らがいる。まあ、俺らの存在はまだみんなに深く知れ渡ってないから知らない人は知らないもんだ。

「健吾、あの子可愛くない?マネジャーとして勧誘しようよ。」

「いや、ここまできて勧誘はよそうぜ。」

「だって俺らと同学年だぜ?赤リボン。」

桜田丘高校の制服には、学年のわかる区別として男子はネクタイの色、女子はリボンの色が三種類ある。今の年では一年が赤、二年が青、三年が緑だ。

「場所なんて関係ない。出会った瞬間から運命は動いているんだぜ。」

そう幸平が言った後、途中の駅から、人が沢山乗車してきたため車内は窮屈な空間となり、あの女の子が俺の隣まで移動してきた。髪はロングでリボンでくくりポニーテールにしている。スタイルは安産型で、出るとこ出てる。ほんと、胸は大きい方だろう。幸平は興奮状態でジロジロその子を見ている。やめろその目は、上から下に動かすな。体がしょっちゅうぶつかり合う。柔らかく、暖かいとかの表現はよしておくとして、ふとその子の方を見ると目が合ってしまった。挨拶がわりに、にっこりと会釈をした。その子も会釈をしてきてお互い目をそらす。初々しい展開でなんだかドキドキするとかはない、引かれないかでドキドキしてます。きゃーとか言って捕まるのとか嫌だからね。印象大事。

「おい、そこ代わってくれよ。」

「いや、この状況じゃ動けん。すまないが、指を噛んで悔しい思いをしていてくれ。」

「そんな、後で覚えておけよ。」

そして隣の子とまた接触する。するとなぜか腕をつかまれた。嫌な予感しかしないなぁ。そっと見てみると彼女は震えながら、こっちを見ていた。どうしたのだろうか?先に言っておきたい、決して痴漢はしてないぞ。すると彼女がビクンと動いた。なんだなんだ、もう俺の人生終わるのか?彼女の口が開く。お父さん、お母さん、こんな息子を許してください。彼女が声を出す。

「た、たすけ、、て。」

「は?」

彼女の目線が動く、その目線を追うと黒髪が見えた。

「え?」

みなさんは見たことあるだろうか、息を荒げ、顔全体がいやらしく笑い、左手を彼女の腰に回し、右手を下の方で動かしている黒髪ショートのスタイル抜群の女の子、あっ、あと顔も整っている。そんな女の子が彼女の後ろにいた。

「あはー、柔らかい。女に生まれてよかったー。」

取り敢えず、変態だ。モノホンの変態がおるぞ。

「ずるい、俺も触りたい、女の子に生まれ変わりてぇ。」

これ以上ややこしくするなよ、変態。

「た、たすけてください〜〜。」

あー、ついてねえなぁ。俺が助けてもらいたい。


「で、なんでそんなことしたの?」

「可愛い女の子が目の前にいるのに触らないほうがおかしいでしょ。」

「た、確かに。」

「納得すな。」

「うぅー。」

俺らは瓦野町駅の近くのカフェにいる。このままほっとくわけにもいかないからな。

「で、何?下校中?」

「いや、瓦野町でスイーツを買おうとね。美味しいのいっぱいあるし。」

「私は、下校中です。」

「へぇーそうなんだ、部活とかは?」

「どこにもはいっていません。」

「私も帰宅部よ。」

おいおい、なんだよ幸平のこのコミュ力。尊敬に値するぞ。

「取り敢えず名前を、俺は浅加幸平。こっちが松岡健吾。」

「あっ、かの変態君たちかぁ。私は花咲 結。結ぶと書いてゆうと呼ぶ。」

「私は神田 美由紀です。えっと、変態さんですか。」

「誤解だ、広まり方が悪いだけで変態ではない。」

「変態と言われているが、そんなことは気にしてないよ。」

「いや、でも美由紀ちゃん本当に触りがいあるくらいのスタイルだわ。」

「ひっ、あの、やめてください。」

「そうだ、やめてやれ、変態女。」

「なんだと、こんな美少女を変態扱いするとは。」

「変態行為と発言をしてたらそれは変態だ。」

「いや、まて健吾、美少女には変わりないぞ。」

「お前は黙ってろ。まあ、今回は許してもらえるみたいだから、今後こんなことするなよ。何組だ?」

「5組よ。」

「私は、4組。」

「まあ、お隣さんじゃないの。」

「えっと…」

「はぁ、先が思いやられる展開だなぁ。」

「じゃあ、取り敢えず俺たちはショッピングしたいからこのへんで。」

「んじゃあ、私もついていっていい?」

「えっ?いいよ。」

「私は帰りますね。」

「あれ?帰っちゃうの?なら、ライン教えてよ。」

「あ、はい。」

教えちゃうのかよ。

そんなこんなで女の子と変態に出会ってしまった。ちなみに、俺たちもライン交換しました。流れだよ、流れ。


この日は、そのまま終わりを告げた。楽しいショッピングだったよ。そして問題は後に起きた。


今日も教室に俺の居場所はない。どうにかならないかな、この変態は。池田荘と部活に行こうとすると教室のまえに幸平がいた。隣の1組からちょうど宮田も現れた。

4人で集まり、幸平が口を開く。

「神田さんが学校に来ていない。」

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