第2話 部活と仲間と日常
「ねぇねぇ、昨日のドラマみた?」
「ごめん、昨日は音楽番組みてた。」
「この筆箱可愛い。」
「ねぇ、そのヘアピンどこで買ったの?」
女の子トークが周りに飛び交う。男の子の声が聞こえないのは気のせいかな?まぁ無理もないか、周りを女の子に囲まれてるからな。
いや、そんなことあるか!!
結局友達作り損ねてボッチじゃん。嫌だ!!こんな高校生活嫌だ!!誰か救いの手を!!
「ねぇ、あのさ。」
「えっ?」
なんだなんだ?急に声かけられたぞ。まさか俺の新しい友達
「邪魔だからそこどいてよ。」
あれ?
「その席おられると邪魔なんだけど。」
「いや、ここ俺の席なんやけど?」
「少しは空気読んでよ。早くどいて。」
俺は静かに席を立ち、教室を出るやいなや、走った。
「あーーーーーーー!!!」
心から叫びたがってます。
話は変わるが、俺はバレーボール部に入ることにした。中学からやっていたから高校でも続けることにした。三年生、二年生の先輩方は優しく、時に厳しく、時に面白い素晴らしい先輩方だ。ただ、問題がひとつあり、三年生が6月の大会で引退すると部員が足りなくなる。そう、部員を増やさなければならない。最低あと3人は必要だ。ちなみに、マネージャーは二年生に1人いるだけだからできればこちらも増やしたいものだ。そして今俺はその問題解決を任されている。これは友達作りに活かせるチャンスだ。
「あのさ、部活とか何してる?」
さりげなくクラスの男子に声をかける。すると話は自然と広がり俺の存在はクラスのみんなにわかってもらえるくらいになった。
だんだんとうまくいっている学校生活でそいつは現れた。
「このクラスに、バレー部の男子はいませんか?」
見知らぬ男子はそういった。周りの視線が俺に向く。やめて、恥ずかしい。
「君がバレー部の人かい?」
「あ、あぁ、バレー部です。」
「俺の名前は浅加幸平、バレー部に入れてくれないか?」
「はい?えっ?入るの?」
「あぁ、入部する。」
「それは嬉しい。ちなみに動機はなに?」
「女子バレーの子の短パンが見れるというのが最初に思ったことだ。」
「…え?」
「次に、女子バレーの三年生が可愛いと聞いたから、ますます入りたくなった。」
「いや、えっと。」
「それと、モテるだろ、バレー。俺もモテたいから入りたい。どうだ?」
「とりあえず、モテたいならその口閉じろよ。」
こうして危ない奴が入部してきた。
翌日から幸平も部員集めに協力してくれた。なんだけど…
「やあ、3組の皆さん、バレーボール部一年、イケメン担当、浅加幸平です。俺と一緒にバレーしませんか?特に女子。」
こんなことを挨拶がわりに各教室に行って回っていた。その勇気だけはたたえるわ。だが、こんなことでは部員なんかはいるわけないので隅っこで俺は声を掛けていった。しかし、二週間たっても部員は浅加しか入らず、バレー部の評価もだだ下がっていた。こんなんじゃ、部員なんてもうこないだろうと思っていたら急に2人入部してきた。嬉しいことなんだが…。
「初めまして、宮田貫太です。一年1組です。よろしくお願いします。」
そう真面目に挨拶している宮田くんだが、何と言っても外見がチャラい。ソフトモヒカンで眼鏡のフレームは紫色、服は乱れ、靴下は星がちりばめられている。ほんと、言葉と行動は真面目なんだけどなぁ。ギャップが凄い。
そしてもう1人
「あ、あの、一年、2組、い、池田荘で、です。え、え、えと、バレーをす、すると、か、かっこよく、な、なると、き、きいて、に、入部し、したい、です。」
先輩方は優しく受け入れた。でも俺はこの先が心配でしかなかった。
次の日から池田とクラスが一緒だからもありよく絡むようになったが、相変わらずのコミュ症だ。
「そ、それで、その、」
「あのさ」
急に女の子が声を掛けてきた。
「池田くん、バレー部入ったんだって?」
「え、あ、は、はい。」
「キャー!!可愛い。ねぇ、練習は厳しい?」
あれ、なんかゆるキャラポジになってない?
「あぁ、練習は厳しいよ。池田は初心者だから尚更だよな。」
「あなたにきいてないから。ちょっと席外してよ変態。」
「えっ?今なんで変態?」
「そりゃ、あんなナルシストと一緒にクラス回ってたら同類でしょ。部員募集とかいいながら女の子しか見てない変態と一緒にいる変態じゃん。」
「ははっ。そんなことないじゃん。」
「もう、学校中に広まってるよ?」
「いやいや、そんなこと…」
周りを見渡すと最初の時とは違う視線が俺に集中していた。目が合った女子はドン引きし、耳をすますと陰口がまあ、すごかった。そして俺は静かに席を立ち、教室を出て、走った。
「あーーーーーーー!!!」
こうして、俺の変態学校生活が幕を開けた。
「嫌だーー!!こんなの嫌だーー!!」
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