第3話

外へ出ると、まだ雨が降っている。

いや、強くなったという方が正しいだろう。

私は傘を差し、暗闇に満ちた街へと足を踏み入れた。

歩き進めていると、人影が見えた。

通りすぎよう。そう思って私は進む。

だんだんと距離が近くなる。通りすぎようとした一歩手前、私は何故か立ち止まった。

何故だろう。何故だか、足が動かなかった。

私はその人影を見つめる。そこには、美しい少女が座っていた。思わず私は見とれてしまう。

それでも少女は黙ったまま。その瞳には光が宿っていなかった。

不思議だ。勝手に声が出ていた。

「キミ、一人かい?」

たった一言。

少女は小さく、そしてコクりと、頷いた。



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