眞鍋 1

放課後は図書室で勉強。

学校の授業はすでに簡単で飽きた。

だから難しい本を手当たり次第に読む。


・・・・飛び級出来れば良いのに。

・・・・イヤだめか。私が飛び級したらあの子がまた一人ぼっちになってしまう。



本を半分程読んだ頃、後ろを振り返るとあの子が居た。

席なんて隣でも正面でもどこでも空いているのに、あの子が座るのはいつも私から少し離れた後ろの席。

そこに座って頬杖付き、ニコニコしながらいつもこちらを見ていたっけ。




「・・・・隣空いてるわよ」


「いいのここで。読書の邪魔はしないわ」


何が楽しいんだか。



「別に本なんて1人で読めるから、先に帰っても良いのよ。

待ってる必要ないし」


「帰っても1人だから眞鍋とここにいる。

ここは静かで過ごしやすいし、とても楽しいの」



お城に戻っても1人・・・・か。

そうよね、この子が小さい頃に母親である女王は他界した。

実質今は女王だけれど、それはお飾りで国に関しての事は全部大人が仕切ってるから、この子は何もやる事がない。


安定していても目標が何もない人生って・・・・つまらなそう。


「眞鍋はいつも何の本を読んでるの?」


「科学の本」


「へぇ・・・・・私科学は苦手。どうして科学なの?」


「どうしても」


・・・・私とした約束、もう忘れちゃったの?

私はずっと覚えてるよ。




「私眞鍋が羨ましい。自分のやりたい事があって」


・・・・女王は自分のやりたい事は何1つ出来ない。




「でもね、見つかったの!私にもやりたい事があるのよ!」


・・・・やりたい事が見つかった?

どうせ見つかっても実現なんてさせて貰えないんでしょ。

やっとやりたい事が見つかり喜ぶ彼女を見ても、結末が見えていて切なくなる。



「私ね。眞鍋のやりたい事を実現させるの!

それが私のやりたい事!

ずっと傍で見守っているわ。眞鍋がやりたい事が叶うまで」


・・・・何よそれ。

結局自分自身のやりたい事じゃないじゃない。

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