女王の騎士 5

「・・・・・・・・・・・・」


隊長は俺のことを見下ろしたまま、何も喋らない。



「俺はさぁ・・・・・ただ、青い空が見たかっただけなんだぁ・・・・。

何にも怯えないで、毎日澄んだ青空が見れればそれで良かっただけなんだぁ・・・。

お前たちは普通に出来るんだろぉ・・・・・・?

俺は出来なかったんだぁ・・・・・。

毎日朝が来るのが怖くてぇ・・・・・」


嘔吐した。

思い出す。

あの地獄の日々。



「だからやっと胸を張って青空を見る生活が出来ると思ったのに・・・・」


天を見上げると、生憎の曇り空。



「結局俺・・・・・、青い空なんて1度も見上げる事出来なかったぁ・・・・」


全身の力が抜け、口から嘔吐物が溢れ出す。

身体が限界?・・・・怖いよ・・・・・死ぬのが怖い・・・・。




「・・・・・・・・・・・・可哀想に。

もう2度と青空を見る機会なんてないかも知れないな・・・・。

丁重に連れて行け」



隊長が指示を出すと、周りの兵士たちに支えられる形で何処かへ連れていかれた。

城とは正反対のどこかへ。


どこへ行くのか。

自分がどうなるのかわからない。

けど、良い方向にはいかないだろう。



自分の人生を思い返す。


いつも誰かに馬鹿にされてた。

誰にも愛されなかった。

常に俺は異常者で、まともな人間として扱われる事はなかった。


唯一愛した人間とはすぐにお別れした。

そしてまた1人。


・・・・・・別に誰かに好かれたかったわけじゃない。

一生独身でも良かった。

ただ明日の心配をしないで、ご飯を食べ眠る。

そんな普通の生活を、1度でも良いからしてみたかったな。


毎日胸を張って空を見上げる生活がしたかった。

なにも心配もせず不安にもならず、青い空を見上げる生活がしたかっただけ。

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