女王の騎士 4

「そちらの部隊がこちらに到着したという事は、正門も突破したという事か。

どうした?」


「はい!天才科学者眞鍋を捕獲、女王の死亡を確認しました」



えっ?



「そうか。しかし国の本拠地だというのに、アッサリ終わったな」


「はい!正門も城内にも兵士が逃げ出した後で数が少なく、手こずらず任務を遂行する事が出来ました」



待てよ・・・・。



「眞鍋さんが捕まって、女王が死んだって・・・・嘘だろぉ・・・・?」


止まったと思っていた足の震えが蘇る。



「私達が部屋に入った頃には女王はすでに銃で撃たれ死亡していました。

どうやら内部でモメたみたいです。

肝心の眞鍋は・・・・・」


内部の奴が殺した・・・・?

誰が・・・・。




隊長と呼ばれた奴が俺の方を向いた。


「聞こえただろう。もう君に勝機はない。

無駄に血を流す必要もない。大人しく捕まってくれ」


「・・・・イヤだぁ・・・・・。

俺は英雄になるんだぁ・・・・・。

女王の騎士になって、皆に羨ましがられる存在になるんだよぉ・・・・」




「羨ましがられる存在?その身体で?

無差別に人を殺し回る君たちの存在を、誰がなりたいと思うんだ。

国民を恐怖のどん底へ突き落とした張本人だろ」


「・・・・違う。俺らは弱者を救う英雄だぁ・・・・」


足腰が震えて立てず、その場に跪く。

身体が一層重たくなった。



隊長は顎をクィっと動かすと、周りの兵士達がゴソゴソ動き出した。

そして何かを手に持ち、俺に近づいてくる。


・・・・捕まる・・・・・。



「嫌だぁあああああああっ!」


右手の剣を振るが、それをいとも簡単に静止されると、身体を特殊素材の紐で巻かれていく。



「くれぐれも右手の剣には気をつけるように。

切れ味が良いから怪我するかも知れない」


周囲の兵士に気を遣う隊長。

・・・・がっちりした体格に、丁寧な言葉使い。

・・・・こいつになんて俺らの気持ちなんてわかるはずがない・・・。



「お前はいいよなぁ・・・・。生まれながらに恵まれた人間でさぁ・・・・。

俺なんて・・・・俺なんてぇ・・・・・」


悔しくて悲しくて複雑な感情が入り混じるけど、涙は流れない。

その代わりに口からダラダラとよだれが流れ出す。

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