女王の騎士 2

医務室を出てとりあえず歩く。


やるしかないんだ。

何処へ向かえばいい?


すれ違った兵士の腕を掴む。



「おい、風の国の奴らは何処に居る?」


「あぁ、裏門だ。裏門から攻め込んできている!」


「裏門は何処にある?」


「この通路を真っ直ぐ行き、つきあたりを右だ」


「わかった」


「アンタももう逃げた方がいいっ!噂では女王は・・・・」


「邪魔だ!どけよ!」


男を身体ごと吹っ飛ばすと、つきあたりまで進んでいく。

人の流れに逆らって歩く。

皆俺とは逆方向へ走っていく。

誰も一緒の方向へ進んでいく奴なんていない。



みんな口々に女王の名を口にしていた。

なんだよ、女王女王ってうるさい。


・・・ん?

そうだ。

なんで今まで気付かなかったんだろう。


ここで俺が風の国の奴を倒せば、女王は俺の事を更に見直し、女王の騎士として特別延命処理をしてくれるかも知れない。

女王の命令なら眞鍋さんだって聞くしかないだろう。



やるしかない。

しんどいけど、もう少し頑張ってくれ。

俺はまだ生きていたい。

英雄になりたいんだ。


見慣れぬ甲冑をまとった兵士が見えてきた。

こいつらが風の国の人間かー・・・・。


右手から剣を出す。

・・・・重たい。

こいつらは下っ端。

こんな身体でもまだイケるさ。

少しでも身体が軽くなるよう、血を沢山吸収しないと・・・・。


目の前に居るモンスターを出来るだけ細かく切り刻んでいく。

俺に歯向かう奴は全員モンスターだ!

裏口へと近づいていくと、徐々に見慣れた甲冑をまとった兵士が倒れている事に気づく。

・・・・ここを守っていた奴らの死骸か。

そいつらにも剣を突き刺し、残っている血液を吸収した。

気だるいこの身体にとって、少しの血液でも良いから欲しかった。

この先に待っているであろう、ボスと戦う前に。




・・・・おかしい。

どんなに斬って血を吸収しても、身体が全然軽くならない。

むしろどんどん重たくなっていく。

・・・・吸収していない?

吸収力と回復力が衰えている?



「・・・・はぁ・・・・はぁ・・・・」


息が切れる。



なんで?こんなに沢山斬ったのに、どうして体力が回復していかないっ!

鉛のように重たい剣を振り下ろす。

徐々にモンスター共の攻撃が身体に当たるようになる。

制服は頑丈だからそこまで深手にはならないけれど、それでも少しずつ増えるかすり傷に体力は消耗されていく。


それでも相手は何の特殊能力も持たない生身の人間。

フラフラしつつも裏門に居たモンスターをほぼ全員討伐し、外に出るとこれまで居たモンスターとは別の甲冑をまとった男が1人前列に立ち、その後ろには無数のモンスター共が待ち構えていた。

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