リサ 5

涼が居なくなってから、私は毎日彼らの報告を楽しみに待った。

たまにニュースで彼らの映像が流れるたびにそれを録画し、何度も見直した。


・・・・・私の為に身体を張って戦ってくれている。

という感情と、

・・・・・涼はやっぱりマリアの事を・・・・・。

どうでも良い感情が混ざり合う。




しばらくしたある日。

いつものようにいつもの定位置で眞鍋の背中を見ていたら、



「マリアが負傷したみたいね。

じきにこちらに戻ってくる。

・・・・どうしようかしら。

元に戻るかしら・・・・・」


ブツブツと悩んでいる姿が目に入った。


マリア・・・。

負傷・・・・?



「精神的な物だしなぁ・・・・。

まだ漆黒の翼を埋め込んで日にちが経っていないから、軽くメンテナンスして精神面をフォローしたらまだ使えるか・・・・。

それともここで一気に脳を移植するか・・・・」


移植・・・・?



「ねぇ眞鍋。脳を移植するとどうなるの?」


「え?漆黒の翼を使うと身体と脳の老化が加速するのは知っているわよね?

それを新しいのに取り替えると、身体の持ちは良くなる。

ただ元あった人格は消えるわ。

外見はマリアだけど、マリアじゃない。

本当のマリアが死んでしまう。

まだあの子の身体と脳は使えるし・・・・、精神的な面で脆い所はあるけれど・・・」


マリアが死ぬ。



私は微笑みながら眞鍋にこう指示を出した。



「脳を移植しましょう。これからマリアの身体にはもっと頑張って貰わないといけないし。

これが良いチャンスだと思うの」


眞鍋はしばらく悩んだ後・・・・


「そうね。そうしましょうか」


ニッコリ微笑むと、マリアの脳の移植の指示を出す。



涼が愛しているマリアが消える。

邪魔者ガ消エル。


これで涼からマリアの存在が無くなる。


手術を終えたマリアとガラス越しに対面した。

見た目は以前と同じ。

しかし中身は・・・・



「なんで私には髪の毛がないの?この手足は何?

この死んだような目はなんなの?

整形してよ!こんな姿じゃ恥ずかしくて外には出られないっ!」


自分の外見に発狂している姿。

まるで別人。



「前のマリアとは全然別人になったわね」


「えぇ。以前のマリアは討伐するという面では優秀だったけど、メンタル面に難があったから、ミカ寄りの性格の子の脳を移植したの。

ミカも最初はダメだったけど、死ぬ直前は優秀だったから」


外見は同じでも中身は違う。

そんなマリアを見て、涼はどう思う?

これでもまだマリアの事を愛し続ける?





それから私は涼の報告だけを楽しみに生活した。


「第二世代が壊滅状態です!

どうやら奇襲にあったみたいで・・・・・」


「何処の反乱組織?国中の反乱組織の情報全て集めてあるはずでしょ?」


「それが情報がなく・・・・。もしかしたら新たに出来た組織なのかも知れません!」


「なら早く調べて!第三世代はどの位育ってるの?」


「それが第二世代と一緒に居たメンバーも全て殺され、監視カメラも1つ残らず壊されていてデータが残ってません・・・・」


「なんでよ・・・」



・・・・第二世代?反乱組織?どーでもいい。




「他国からまた討伐に関しての問い合わせが・・・・。

一応大臣が対応していますが・・・・」


「そう。なら大臣に任せればいいじゃない」


「それが今までは土の国だけだったのが、風の国も騒ぎ始めまして・・・」


「そう。じゃあそっちも大臣に任せたら・・・・」



・・・・他国?知らないわよ、そんなの。

これまでだって私はただのお飾りで、他国と交流も接触もほとんどした事なんてなかったし、この国がどうなろうがどーでもいい。



私が気になるのは・・・・・・・・・・・。

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