第24話マリア 1

「マリア、今日からこの子もココで生活する事になったから。

面倒を見てあげてね」



目の前に居る、マリアと呼ばれた、その子は、死んだ魚のような目をしている子だった。

やせ細ったその子は、私の方に手を差し伸べる。





「さぁ、アリス。

マリアの所へお行きなさい」


そう言い、シスターは私の背中を押す。




「よろしく、マリア」



私がそう言い、マリアの手を握ると、




「よろしくね、アリス」



相変らず、死んだ目のまま、私の腕を力強く握り締めた。

骨と皮しかないのに、何処からこんなに強い力が出るのだろう?






「アリス、ここでの生活の仕方は、全てマリアに聞きなさい。

マリア、アリスの事を妹だと思って、優しくしてあげてね」



優しく微笑むシスター。

無表情なマリア。



対照的な2人だけど、何故だろう。


優しく微笑んだシスターを 怖い と思ったのは。




シスターが何処かに消えてしまっても、マリアは私の手を力強く握り締めたまま、離す事はなかった。





やせ細っているにも関わらず、力強くて、暖かい手。




知っている人が誰も居ない、この施設で、凄く心細かったけれど、

マリアが手を握ってくれたから、笑う事が出来た。





「ねぇ、マリア。貴女の事、マリアお姉ちゃんって呼んでもいい?」



会って間もないにも関わらず、貴女は無表情な目で、うなずいてくれた。



表情は無かったけれど、貴女は笑って頷いてくれた。


私には、そう見えたの。




「ココが私達のお部屋よ」



そう言い、マリアに連れて来て貰った場所は、

狭いお部屋に、子供達が10人も居た。





「ココは、何をするお部屋なの?」



こんなに狭い場所で、この子達は何をしているのだろう?

私は不思議に思ったの。




マリアはこちらを見て、




「私達のお部屋よ。

食事以外の時間をココで過ごすの」




そう答えた。





食事以外の時間、全てをココで過ごす?!


私はその事にとても驚いた。





ココで、何をするの?


どうやって、眠るの?





「さぁ、入りましょう。私達のお部屋に」




そんな疑問を持ったまま、私はマリアに引っ張られ、部屋の中に入った。

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