第10話異物混入 3

目が覚めた。

相変らず、変わらない情景が視界に入る。




どの位の時間、眠っていたのだろう?


相変らず、真っ白な壁と真っ白な天井が視界に広がっている。




左上には点滴がぶら下がっている。

そういえば、ここに来てからずっと食事をしていない。

俺の栄養源は、コレ(点滴)か。




指を動かす事は出来ない。

まだ、傷は塞がらないのか。




「・・・・」


声も出ない。





現状・・・・。

何も変わっていない。





それから数日間。



部屋を訪れたのは、白衣を着た・・・・看護士さんだけ。

淡々と点滴を新しい物に取替え、無言で部屋から出て行く。




不思議な物で、この数日間。

食事を取っていなければ、水分も取っていない。

お腹がすくという感覚も、喉が渇くという感覚すらなかった。


それは、この点滴の影響なのだろうか?


何も食べていないからか?トイレに行きたいと思う事もない。

文字通り、俺は、ただ眠るだけの生活を送っているのだ。





母も兄も、一度も見舞いには来なかった。


クラスの奴らは・・・言うまでもない。




そして、真鍋さんも来る事はなかった。

真鍋さんにとって、ただ横になっている状態の俺には、興味がないみたいだ。


そこからまた、数日過ぎた。




ガラガラ・・・・。


扉の開く音がする。




カツカツ・・・・。


この足音は・・・・、看護師さんじゃない。

誰だ?母だろうか?





「おはよう、北条くん」


来たのは、真鍋さんだった。

ココに来てから、2週間以上経過。

2回目の対面だ。





「・・・おはようございます・・・・」


少し回復したのか?

言葉を話せるまでに回復していた。


腕はまだ動かす事は出来ないけれど、指は動かす事が出来る。

傷が・・・塞がってきているのだろう。





「声出せるようになったのね。後少しで、起き上がれるようになるはずよ」


そう言いながら、手に持っている紙をガサガサ漁っている。

全然、こちらを見ようともしない。

まだ、俺は見る価値もないって事か・・・・。





「・・・・」


起き上がれるようになる事が、嬉しいのか?俺にはよくわからなかった。

勝手に頭をこじ開けられ、チップを埋め込まれるなんて、普通はありえないだろう・・・。



いや、それより、訓練が始まったら、俺は学校に通わなくてはならないのだろうか?

これで、学校にも通いながら、訓練の日々だとしたら、地獄そのものだ。

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