第4話粗大ゴミ 4
終礼の時間。
やっと終わった。
あいつらから、開放される。
カバンを持ち、さっさと教室を出ようとした時ー・・・・。
「おい、北条」
呼び止められた。
振り返ると、デブの藤井、ガリで眼鏡の石川。
「こっちに来な」
そして、デブメガネで女子の中でも番長の志田。
3人が後ろに立っていた。
「・・・・・」
喋る気も起こらない。
この3人が、イジメの首謀者だ。
「なんでお前学校来んの?」
「こんだけやられてんのに、学校来て恥ずかしくないの?」
誰も居ない教室。
俺は、あいつらの足の下に居た。
「汚ねぇ、こいつ!」
頭を床に押し付けられる。
「床舐めてみろよ」
「うっわ!マジで舐やがった、汚ねぇ!」
「もう、帰ろうぜ~」
俺をボコボコにすると、そのまま帰って行った。
これもお馴染みの光景。
あいつらの足跡がついた汚い洋服。
ボサボサの髪。
服に付いた埃をサッと払うと、カバンを持ち、立ち上がった。
早く帰らないと、母さんに起られる。
なんで俺は、学校に行っているのだろう?
自分だってわからないのだから、答えようが無い。
本当は、行きたくないに決まっている。
学校には、行きたくて通っている訳ではない。
行かなくていいのであれば、すぐにだって行くのを止める。
でも、俺は、こんな目に合っても、学校には通わなくはならないんだ。
ガチャン。
鍵を開け、ドアを開けた。
ここは俺の家。
両親共に働いている訳ではないけれど、鍵はいつも閉めてあるから、自分で開けて入らなくてはならない。
キッチンで料理をしている母親を発見。
「・・・・・ただいま」
「・・・・・」
無視。
まぁ、いつもの事。
晩御飯を食べるであろう時間まで、自分の部屋で待機するのが、俺の日課。
Uターンし、自分の部屋まで向かう途中、
「また洋服汚して!洗濯する身にもなりなさいよ!
これからは、アンタの洗濯はしないからね!」
母親の怒鳴り声が聞こえた。
・・・・忘れてた。
いつも、服を汚して帰って来て、怒られるのも日課だったんだ。
「藤井達にやられたんだ。好きで汚したんじゃない」
反論しても、
「やられるのは、アンタが悪いの!アンタがイジメられるようなオーラを出すからよ!」
更に怒鳴られる。
親は必ずしも子供を守るとは限らない。
その事は、俺が一番よくわかっていると思う。
俺は唇を噛み締めながら、自分の部屋に入った。
やっと、一人になれる。
落ち着ける時間だ。
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