第3話粗大ゴミ 3
「魔王が世界に降り立ったのは、今から000000年前。
それまで平和だったこの世界に、モンスターが放たれ、混沌とした世の中へと変貌しました」
この世界には、魔物がいるらしい。
そして、モンスターもいる・・・・らしい。
両方共曖昧な言い方なのは、実際に、俺がこの目で魔王もモンスターも見た事がないから。
テレビのニュースでは、よくモンスターに食われて亡くなった事件が報道されているけれど、
実際にこの目で見た事はない。
学校の先生は、俺のイジメを自分の目で目撃しているにも関わらず、
見て見ぬ振りする癖に、
1度も見た事がない魔王や、モンスターの事について、熱心に教える。
俺はその行動に疑問を感じていた。
きっと、俺は先生に対して無害だけれど、
魔王やモンスターは自分にとって有害。
だからこそ、恐れ、その事を生徒に教えるのだろう・・・・そう解釈する事にした。
じゃあ俺も、大量殺人なんてやれば、皆がイジメをやめてくれるのかな?
・・・そんなのごめんだ。
誰かを殺すのなら、自分を殺した方がまし。
でも、その勇気が出ない。
今日もダラダラ生きる。
「魔王を倒すべく、魔王撲滅組織ClearSkyが発足されました。
不老不死であると言われている魔王を絶滅させる事が出来るという、
秘密の武器、漆黒の翼も完成し、今は、それの適合者を探している最中。
もしかしたら、この教室の中に居る、誰かが適合するかも知れませんね」
先生は微笑んだ。
・・下らない。
俺なら、その漆黒の翼適合者なんてゴメンだ。
俺をイジメた奴らを救う気なんてならない。
世界が平和になったって、俺へのイジメは消えることはない。
なら、魔王の力で、人類を滅亡させてしまえばいいんだ。
そんな事を、口に出して言えば、
「頭がおかしい人間」というレッテルを貼られる。
何故、世界平和を願わなくてはならない?
魔王も悪なら、イジメをする人間も悪だろう?
休み時間になり、誰かがこう囁いた。
「北条だけは、絶対に適合しなさそうだよな~」
俺だってごめんだよ。
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