忍者時代7

「雪、入ってもいいか?」

障子の外から朔夜兄さんの声が聞こえた。

「開けてもいいよ朔夜兄さん」

そう言うと朔夜兄さんは静かに障子を開けて部屋の中に入って来た。

「兄さん少し長くなるからお茶入れておいた よ」

「ありがとう雪」

私はおそらく最後になるであろう朔夜兄さんの笑顔を見て話し始めた。

昔、昔あるところに五つの忍の里がありました。忍の里には防御にたけた木の里、攻撃にたけた火の里、体力にたけた土の里、速さにたけた雷の里、そして頭脳にたけた水の里がありました。どの里もとても仲良しで良きライバルでした。ですがそんなある日いきなり火の里だけが仲間外れにされてしまいました。その理由は謎の変な噂を流されてしまったからでした。それからは今まで手に入っていた食料や武器、火薬が全く手に入らなくなってしまいました。なので仕方なくずっと断り続けていた暗殺業を始めました。この後負の連鎖が始まり火の里の忍に殺された人の家族が次々に火の里を襲うようになりました。困り果てた火の里の忍達は強い忍は十歳頃から暗殺の仕事をさせるようになりました。

「私は十歳の頃から仕事とはいえたくさんの 人を殺してきたの。そして最後には仲間さ えも助けられたかもしれないのに見捨てて 逃げたのよ。

私は朔夜兄さん軽蔑した眼差しを向けられるのが怖くて朔夜兄さんの方を見ずにこう言った。

「もう兄さんも私のこと助けたいと思わなく なったでしょ?最後に私が火の里の忍だっ ていう証見せてあげるね」

私は背中にある火の里の忍である証の紋様を見せた。すると急に後ろから抱きしめられた。

「もう泣いてもいいからな雪。ずっと一人で 悩んで全てを背負い込んで、でも逃げるこ とも誰かに相談することも出来なかったん だろ?もう雪は一人じゃないからもう泣い てもいいからな」

私は朔夜兄さんの方を向き胸に顔をうずめて泣き出した。あの日からずっと止まっていた時が動き出し、凍っていた心が溶けて涙になり溢れた。

「ありがとう兄さん」

そう言って雪はすーすーと寝息をたてて寝てしまった。俺は雪を布団に寝かせて立ち上がろうとしたががっちりと服を捕まれており立ち上がることができなかった。気持ちよさそうに寝ていて起こすのも可哀想なので仕方なく一緒に寝ることにした。

私はその日、この前見た夢に似ている自分にそっくりな人物が出てくるような夢を見た。今回は前回よりも大分大きくなっていた。そして何かを言いながらずっと泣いてた。何を言っているかは分からなかったが胸が締めつけられたら。

「雪、雪大丈夫?」

「な、何でいるの兄さん」

「雪が昨日俺の服掴んで寝たからだろ」

「えっ、そうなの?ごめんね」

「全然いいけどな。後もう一個昨日言えな  かったこと言っとくなもう雪は一人じゃな いし裏切り者でもない」

「ありがとう兄さん私やっと前に進める気が するよ」

私はこの時この言葉にたくさんの勇気と希望をもらったのだった。

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