第11話 原因は解っている…
「あのさ…『同僚』は?」
「なんかね、今向かっているらしいわ…アイツも遅いんだよ! まったく!」
(全部、お前のせいだろ!)
少し車で待っていたのだが…まぁまぁの腹痛に見舞われることになる。
ラーメンか?大盛りだったからか?ライス(小)が余計だったのか?
早食いが凶と出たのか……。
(これアレだ…下痢するヤツだ…)
カラオケボックスでトイレを借りたいが…『同僚』が来ない…困った…。
それに経験で解る。
この感じは、一気に水が出る感じのパターン。
直前まで腹痛が続いて、数秒で放出されるパターンのアレだ。
危険なパターンだ。
そのくせ、直前までトイレに行っても音沙汰がないのである。
歳なのだろうか…ラーメンの油で胃腸がやられることが多くなった今日この頃。
「ちょっと…腹が痛いんだけど…」
「どうした?大丈夫か?トイレ借りるか?」
「いや…コンビニで借りるわ…先に入っていてくれ」
「おう、解った。『同僚』きたら先に部屋取っとくからな」
「あぁ…」
僕は近くのコンビニでトイレを借りた。
腰掛けて…やっぱりだ…腹痛だけで排出の気配が無い。
我慢できる痛さが続く…性質が悪い…。
出るには出たのだが…本体に届いてないというか…確信に触れていないというか…。
腹痛は続く…。
とりあえず、いつまでもココに居るわけにはいかないので、カラオケボックスへ戻ると、
「おう!大丈夫か?出たか?」
(デリカシー!)
「あぁ…まぁ…大丈夫とは言い難い状況だ…」
「そうか、まぁ部屋は6号室だ」
と…反対へ進む『通』
「お客様、そちらでは…」
店員さんに止められる。
「えっ?俺、ソッチから来たよ…それで待ってたんだよ」
「あっ…お客様…トイレに行かれましたよね」
「あっ…そうか、トイレから出たからね…逆になったのね」
どうも、部屋から出て、トイレに行って、僕を待っているうちに歩いてきた方向が上書き保存されたようだ。
部屋に入ると、知らない顔が2人…。
軽く会釈して席に座る。
「おう!桜雪…オマエの席はソコじゃねぇ、ココだ」
「いやココでいい」
『通』が僕のために空けておいた場所…。
知らない顔2人を右に、『通』と『同僚』を左に…僕が中心って…共通のオマエが仕切って真ん中だろ!
「またプーアル茶頼もうぜ」
「好きにしてくれ…」
「桜雪…何飲む?」
「ん…正露丸」
「あるのか?」
「今は、一番、正露丸が欲しい」
苦痛だ…腹も…空気も…。
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