第8話 プーアル茶、飲み干す

「お前も知ってるアイツも自己破産してるぞ」

『通』の同級生のことだ。

「うん…アイツは解る…」

「300万くらいだったんじゃないかな?」

「それは返せたんじゃないか…頑張れば…早い段階でジョーカー出してくるタイプだな」

「お前はいくらで破産したの?」

『同僚』に聞くと…

「ん?30万くらいだったんじゃないかな~」

「お前は…1手目からジョーカー出すんだな…」


 プーアル茶は減らない…温度を保ったまま…まだ出てくる…。

「桜雪…タコのから揚げとウインナー盛り合わせだ」

 同僚が注文の電話を促す。

「…とチョコパフェをひとつ…あとコーラ」

「バカ!お茶を減らすために注文したのに、なんでお前はパフェとコーラ?」

「そうだったのか…食いたいだけだと…でも僕…タコのから揚げ好きだよ」


 よく歌い…よく食べた…気持ち悪いくらいに。


「そういえば『吉川晃司』…あぶない刑事フォーエバーに出てたよ」

「なにソレ?」

 ファンだと言う割には何も知らない『通』

「いや悪役のボスで映画に…いい蹴り放ってたわ…タカに」

「おう!昔から蹴ってたわ…アイツ…まだ蹴ってたかー…そうかー」

 なんで遠い目?

 そして『吉川晃司』を何曲か歌う『通』


「なんでだろう…『吉川晃司』の曲って繰り返し多くね?」

 モニカ…モニカ…モニカ…サムライ…サムライ…サムライ…。

「この曲さー…久しぶりに出したと思ったけど…全然売れなかったみたい…」

『通』が不思議そうに感想を述べる。

「お前が忠実に歌ったというのであれば…うん…なんか解る…売れないと思う」


「僕…なんか心臓が痛いんだよね…」

 なぜか最近、時折チクチクと痛む…。

「アレか?俺の歌に感動してか?」

「うん…痛いんだ…刺さってるんだ…歌だとしたらダメージだ…コレ」

「違うな!俺の魂の声がオマエの胸に刺さるんだ」

「だとしたら…俺の前で2度と歌わないでくれ…兵器だよ…超音波兵器だよ…ファイナルウェポンというか、リーサルウェポンというか…」

「そんなに?凄くね?」

「うん…北の王様に売り込みたいくらいだ」

「そうか?じゃあもう一曲歌っちゃおうかな」


(筋肉少女隊?……あっBOOWYか!…出だしからさ~なんかもう…)


 こんな調子で4時間…やっとプーアル茶を飲みきりました…。

「さて帰るか…俺、眠くなったよ…」

(プーアル茶がタイマーなんだな…)


「じゃあ帰るか…」

 ピッ…曲が掛かる。

『同僚』は歌い足りないらしい…。

(コイツはなんで…こうマイペースなんだろう…)

 しかも掛けただけで…歌わねェ…。

 マイクを僕に渡す『同僚』

(確かに…昔よく歌ってた曲ばかり連チャンで入れてくる…)

 何曲か歌わされ、満足したのか…やっと片づけ始める同僚。


「俺さぁ~エロDVD売ってる店行きたい」

『通』である…。


「じゃあまたな…休み取れたら、GWにどっか行くか?考えておいて」

 僕は彼らと別れた…。


 その後…『同僚』に送り迎えを頼んだ『通』が、その店に行ったかはしらない。

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