番外編 ルナの秘密

 私は何か間違いを起こしたのだろうか。

 ルナ・ウンディーネが私の名で、母の名が、キルミス・ウンディーネ。この国の隣国キルラーレの、高男爵ミスチル様の妻。




 ウンディーネの伝説を聞いたことがあるだろうか。

 ウンディーネはもともと魂を持っていなく、男性と恋愛をすることで魂が宿ると言われている。

 ですが、その男性ミスチルは、他の女性と恋をした。

 母は、魂を得られる代償に、恋をした男性が、他の女性と恋をしてしまったら、その男性を殺さなければいけない。

 そう、ウンディーネの姓を持つものは、恐ろしくも悲しい存在なのである。

 母はその運命に逆らえず、ミスチルを殺した。

 私はその時は、お父様はどこ? そんな事を母に聞いていた。母はその度に苦しんで、泣いていた。

 今思うと私はひどい事をしてしまったのかもしれない。

 私は父を恨んでいる。母を苦しめたことにたいして。

 私は同じ運命をたどってしまう。

 だから、私は恋をしてはいけない。私を一生愛してなんて、男には無理なのだから。

 でも、私はウンディーネとは誰にも言っていない。一応私は殺人者の一族だから。そして私は水の精霊。と言っても精霊の力は薄まっているけどね。そりゃあ、先代が人間と結婚していくのだもの。

 だから男の人にはかかわりたくなかった。でも学園生活をしている以上、そうはいかない。しかもこの体型だ。男の人の目を引いてしまうのも理解している。

 今日あったテスタ君だってそうだ。

 だから、さっき引き止めなかったのは間違いじゃないと信じたい。

 

 


 今は、魔法の知識の授業をしていた。

 一年生のクラス分けは、全部普通科として人数分けされているのだが、二年生からは違う。

 炎魔法科、水魔法科、氷魔法科、風魔法科、雷魔法科、闇魔法科、光魔法科の七つに分かれているそうだ。

 私だったら、水魔法科に入るのだろうが、もしもウンディーネ家だとバレたら大変なことになるから、一応適応してくれた、氷魔法科に入る。

 ウンディーネ、ていうか精霊の魔力は並外れたものだった。

 この学園を首席で卒業した者の魔法適正率は、約600。それに対して、私は943。

 この国の大魔導士と呼ばれる人と同等、それ以上だろう。

 私の親友ウィルは、それを言っても友達でいてくれるだろう。だが、フロウとジェイドはそうはいかないだろう。

 私に近づかなくなる。確実にだ。

 それに、テスタ君は魔法適正率がとてつもなく低いらしい。噂でだが。でもそれが本当なら、精霊というだけで近づかなくなるだろう。力の差は明らかで、私の事を怖がって、近づかなくなるだろう。

 やっぱり、私はこの姓が嫌いだ。

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