異世界で音ゲー革命！ 音楽ゲームが異世界に進出？！

第８６話 ＤＤＲパフォーマンス大会 その１５

『帝国過激団』

それはかつてロクドー達が元居た世界の恋愛シミュレーションバトルゲーム、チャクラ大戦のネーミングであった。

盛大に噴き出すロクドーと唖然と固まるメロディー。

転生者である二人は勿論その名を知っていた。

「それではポポロ選手どうぞ！」

受付嬢の発言と共にポポロは１枚の紙を広げた。

そして、それをセバスが用意したテーブルの上の魔道具に乗せる・・・

ここに居る半数はその魔道具が何か理解していた。

俗にいう映写機と呼ばれる物である。

主に冒険者ギルドの会議室等に在るそれは空中に映像を映し出す物、会議の際に全員が見やすくする為の物であった。

「皆さん！最後に最高の笑いをプレゼントさせて頂きます！テーマは・・・『宝探し』です！」

そう言って曲を選んでスタートする！

選ばれた曲は・・・『stomp to my beat』

アイとマイとマインの魔族３姉妹がセクシーなダンスを披露した事でこの曲のイメージが植え付けられた観客達は脳裏にそれを思い出す。

だが筐体上のポポロがとった行動に意識を引き戻される！

「えっ・・・」

そう声が漏れるのも仕方ないだろう、ポポロが手にしていたのはスコップだったからだ！

そして、普通に何かを探している様子で自然と１Ｐ側のパネルを踏んでプレイしていく・・・

その動きだけでも一つのパフォーマンスとして成立しているのに誰もが驚きを隠せなかった・・・

その流れでまるで偶然それを発見したかのようにポポロはテーブルの上の魔道具を見付ける！

筐体から降りだし流れてくるドブ妻ビッチのボイスと共にポポロは魔道具に置かれた紙を見つめる・・・

勿論その間も矢印は流れゲームは続く・・・

難易度はシングルのカップル譜面、それにLITTLEが入ってはいるがそれなりに難易度は高い曲である、にも関わらず上がってくる矢印を筐体上に残していた片足で同時以外を抑えながら彼は演技を始めた！

「あれは・・・まさか？！」

その時に筐体上に紙の映像が映し出される！

□〇□□↑□

←□→←□→

□↓□□↓□

その紙とＤＤＲのパネルを音に合わせて交互に見始めて閃いたと口と目を大きく開いて手にしていたスコップを持ち上げる！

そう、映像はＤＤＲのパネル台を表していたのだ！

カン♪カン♪カン♪カン♪の音と共に〇が示す１Ｐの↑パネルと紙を交互に確認し・・・

カンカンカンカンカンカンカンカン・・・と言う最初のラッシュと共にスコップで↑パネルを掘り出した！

カーン！！

最初のラッシュ、それが終わると共にポポロは首を左右に振る・・・

それは何も見付からなかったと観客に理解させるには十分であった。

頭を掻きながら困惑の表情を浮かべるポポロ、だが直ぐに気を取り直して歩きつつ思考を巡らせる・・・

そして、紙に視線をやり何かに気付いた！

再びその紙に近づき、今度は手を伸ばして・・・

紙を半回転させた！

「「「「「オオオオオオオオオオオオオオオ！！！！」」」」」

観客達の驚く声が響く！

それはそうだろう、上部に表示された映像が・・・

□↑□□↑□

←□→←□→

□↓□□〇□

と違う場所を示していたからだ！

まさしくダブルのミラー！

その発想は無かったと誰もが驚きポポロは再びスコップを持ち上げ・・・

２回目のラッシュに合わせて２Ｐの↓パネルを掘り出したのだ！！

ロクドーが驚いたのはまさにここであった。

先程まで完全放置していた２Ｐ側のパネルをここから踏み始めてゲージを回復させ、ゲームが途中で終了するのを防いでいるのだ！

そして・・・カーン！！の音と共に再び項垂れる・・・

また何も見付からなかったのだ。

だが観客達は期待の眼差しで続きを見続ける！

そう、stomp to my beatのラッシュは３回あるのだ！

項垂れたポポロであったが、２Ｐ↓を掘る事で自身が背面になっている事に気付き紙へ再び手を伸ばす！

そして、手にした紙を・・・裏返しにしたのだ！

「「「「「「「「「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォオォオオオ！！！！！！！！！！！！」」」」」」」」」

再び大歓声！

映写機の魔道具に置かれた紙が裏面にもしっかりと描かれていたので再び〇の位置が変化した！

□↑□□〇□

←□→←□→

□↓□□↓□

３度目の正直とばかりにポポロはスコップを持ち上げその位置へ戻る！

これには理由があった、この曲の３回のラッシュ、実は２回目と３回目の間は非常に短いのである！

だがその間をポポロは気付きと期待で急ぐ探索家を見事に演出して魅せたのだ！

そして、ラッシュと共に掘り出す動きをした時であった・・・

「「「「「「「「「「「「「「「「「「「えええええええええええええええ！？！？！？！？！？！？！」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」

観客だけではない、審査員もロクドーすらも驚きに声が出たのだ！

なんとポポロが掘った場所から銀貨が飛び出したのだ！

何もない空間から飛び出す銀貨、だがよく見るとそこに空間の揺らぎが発生しており、スコップの先端がその中から銀貨を掻き出しているいたのである！

カンカンカンカンカンカンカンカン・・・プオーン！

そして、両腕を天に掲げ宝を見事に発見した喜びを表現するポポロ！

そこには一つの物語が完成していた。

観客達はあまりの驚きと感動で誰一人身動き一つとれなくなっていたのであった・・・