第56話 動けないロクドーを待たず迫る戦争

「ロクドーさん!大変です!魔物が魔物の軍隊が攻めてきました!!!」


ロクドーの家に飛び込んできた女性。

コンマイ国と同盟を結んだガム国王女メロディーであった。

彼女は南の魔物の国から物凄い軍勢の魔物の群れが攻めてきている事をコンマイ国王から聞かされロクドーに助けを求めに来たのだが・・・


「今夜が峠です・・・」

「あぁあああああアナターー!!!!結婚前に私を未亡人にするとかどういうことなのぉおおおお!!!!」


ベットに横たわる包帯グルグル巻きのロクドー。

部屋の天井を見詰めながら身動き一つ取れない彼の横に寄り添うのは御存知マインであった。

彼をこんな状態にした張本人が一体何を言っているのかと思うかもしれないが彼女には原因が分かっていなかった。

ロクドーは魔力が異常な程高いので身構えてさえ居れば魔力で全身をコーティングして彼女程度の攻撃なら平然と受ける事が出来る。

だが完全に不意打ちであった。

エミの告白の途中と言うのもありロクドーの体はモロにマインの突撃を喰らったのだ。

更に追撃として肩と後頭部を更に強打してビンタで頚椎にまで深刻なダメージが残っていたのだ。


「勝手に殺すな・・・」

「えーだって美女4人に囲まれているロクドーさんなんておかしいもん」

「俺は元々奴隷商だったんだが・・・」


ロクドーの治療を行なっているのはロクドーの想い人アリスである。

瀕死の重傷のまま家に担ぎ込まれた彼の容体は手に負えないと彼女に応援を頼みに行ったのである。

その結果、高価なポーションを使って一命は取り留めたのだが・・・


「でも暫くは安静にすることね、せめて3日は動かない事」

「3・・・3日も?!」

「だ・・・だから看病しに来てあげるから・・・大人しくしなさい・・・よね・・・」


チラチラとロクドーの様子を気にするエミの方に視線を向けつつ恥ずかしながらも自己主張を見せるツンデレ化したアリス。

アリスとロクドーの桃色空気に不機嫌になるマイン、それを面白そうに眺めるアイとマイ。

まさに、THE修羅場であった。


「・・・ってロクドーさんこんな状況でどうするのよぉおおおお!!!!」


入り口で立ち尽くしていたメロディーが再起動した。

その叫びに思い出したかのようにアイとマイとマインが彼女の言葉を思い出して彼女に詰め寄る。


「魔物の軍勢が攻めて来たってどういうこと?!」

「えっ?いや、なんか南の森の奥に物凄い数の魔物の動きがありまして・・・」


ロクドーへ強力を求める為にここまで来ていたメロディーは聞かされていた情報をこの場に居る全員に語った・・・

そして、その話を聞いてベルゼブブと魔獣王ライオルの配下だと理解した魔族の3人が出した結論は・・・


「「「大変!お母さん、お父さんを誘惑した音ゲーを作ったこの町を滅ぼすつもりなんだわ!」」」


3人が3人とも同時に同じ結論に至った事にどんな家族だと突っ込みを入れたいロクドーではあったが緊迫した状況の為自制した。

実は3姉妹、魔王サタンが毎日コンマイ国まで出向いて音ゲーにどっぷりハマッていた事を知っていた。

知らないのは母親の妖鳥シレーヌだけだったのだ。

だが姉妹が勘違いした大きな要因に、母親が音ゲーの存在を知らない事を知らなかったのである。


「お、お父さんを呼んでこないと!」

「ロクドーさん、私達はこの町の音ゲーと貴方を守る為に強力させてもらいます!」

「だから私と結婚して!」

「おいどさぐさに紛れてこんなにしたやつが何言ってる?!」


3姉妹に続きマインの言葉に突込みを入れるアリス。

だが魔族の強力を得られると言うのは朗報でも在った。

戦闘に参加できないエミとアリスに出来る事は殆ど無い。

ならば!


「分かったわ!コンマイ国王には私から話しておくわ!出来るだけ早く城の方へお願いね!」


メロディーはロクドーの強力が得られない状況を説明にし急いで戻る。

3姉妹もそれぞれが役割を理解し自宅へ魔王サタンを迎えに行くマイ、コンマイ国王の元へ行って協力を宣言するアイ、魔物の群れの状況を把握する為に潜入するマインに分かれて動き出した。

様々な思惑が交差し勘違いが勘違いを生んだまま今、魔族と人間族の全面戦争が始まろうとしているのであった・・・

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