第53話 サタン人間界で冒険者になり同族を狩りまくる

「あっ当たった?!」


執事が手にするクジには当たりの文字が輝いていた!

抽選券が当たる整理券を手渡し引いたくじで見事に執事は当たりを引き当てたのだ!


「おめでとうございます!最後の抽選会は明後日、代金を用意してお待ち下さいませ」

「えっ・・・代金?」







現在サタン一同はコンマイ国の南門を出た平原を歩いていた。

彼等の狙いはただ一つ・・・


「獲物だ!獲物を狩って冒険者ギルドに持ち込めば金になるんだ!」


サタンの叫び、それは明後日の抽選会で当たればプレステが購入する権利が貰える。

だが人間の通貨を所持していない事に気付いた一同は直ぐに金策に走っていた。

毎日魔界から魔法を使用して家族に黙って人間界へ出向き音ゲー三昧だった一同は予期せずに町の人々と仲良くなっていたのが幸いした。


「そりゃおめぇ、金が欲しかったら冒険者になるのが一番の近道ってもんよ」


顔見知りのドラムフリークスが大好きなドワーフの言葉を聞いたサタン達は早速冒険者になる為に冒険者ギルドへ向かった。

幸運だったのはコンマイ国の住人の殆どが音ゲーの効果で物凄い魔力を得る事が可能になりランクに関係なく魔物を討伐して持ち帰れば換金してもらえる様になっていた事であろう。

本来であればBランク以上でなければ倒す事は不可能とされる下級龍をコンマイ国のFランクの子供達が実際に狩っていると言うのだから仕方が無いのだろう。

だが問題が一つ在った・・・


「サタン様、一つお尋ねしても良いでしょうか・・・」

「何だ執事?」

「サタン様が先程から優先的に狩りをされているオーガなのですが・・・」

「おおっ人間界にもオーガが居るとは思わなかったぞ、こいつの肉は上手いけど魔界じゃこいつらは俺と同じ3柱の1人『魔獣王ライオル』の部下だから狩るのは不味いからな」

「いえ・・・多分そのオーガもライオル様の・・・」

「おっあっちにももう一匹見つけた!俺の獲物だぁああああ!!!」


執事の心配は当たっていた。

人間界で明らかに隔絶した魔力を保有する人間が多数居るコンマイ国、ここの調査にサタン以外の2柱であるベルゼブブとライオルは配下を送り込み調査を行なっていたのだ。

それを知らずサタンは自分に見つかるやつが悪いとばかりに次々と狩り続けていた。

冥土のメイド達が倒した魔物の素材と討伐証明部位の回収を行って居るのでサタンは身軽に自由に魔物を蹂躙していたのだ。

まさか自分が金の為に同胞の配下を皆殺しにしているなどと知りもせずに・・・


「よし、今日はこのくらいで終わらせておくか!」


そう言うサタンであるが、周囲に居た魔物を絶滅させたので既に近くに反応が無かったからだとは気付いても誰も何も言わなかった・・・

そして、コンマイ国へ戻りサタンはギルドにそれを提出するのだが・・・


「えっと・・・サタンさん・・・この量を全部ですか?」

「うむ!ワシが全部討伐したぞ!」


必要ない部分は全て捨てていたのにも関わらず山の様に積み上げられた魔物の山。

それを困惑しながらも次々と処理し続けるギルド職員達・・・

魔力の上昇と共に狩りを行なう冒険者が増えて職員の買い取り処理の速度はとんでもなく速くなっているのでは在るが量が異常な為流石に時間が掛かっていた。


「いや、素晴らしい手際ですね・・・殆ど無駄の無い解体技術に驚きしか無いですよ」


職員の中でも立場が上な者がその素材の山に目を向けながら口にする。

冒険者ギルド内でもその人物が他人を褒めるという行為を殆ど行なわないというのは有名であった。

その人物が褒めていると言う事に誰もが驚きサタンを見詰めていた。


(いやに視線を感じるもんじゃのぅ・・・)


コスプレして戦う謎の冒険者としてサタンの名前が有名になっていくのであるが本人はそんな事知りもしなかった・・・

そして・・・


「お待たせしました。買取金額・・・138万enです」

「ふむ・・・確かに」


自信満々に口にするが人間の通貨を見た事の無いサタンはそれが合っているのかどうかは分からない。

だがテレビと言う魔道具にプレステ、そしてソフトと呼ばれていたディスクを全て購入しても70万enもあれば余裕だと調べていたので誤差はどうでもよかったのである。

こうしてプレステを購入する資金をゲットできたサタン一同はその足で今日もゲーセンに突撃し音ゲー三昧な一日を過ごす。

深夜に帰宅して朝早く家を出て人間界へ行き音ゲーを堪能する・・・

サタンは気づいていなかった・・・

大魔王サタンの奥さんであるシレーヌが毎日仕事と嘘をついて出て行っている旦那を疑っている事を・・・

そして、完全な誤解で一日女の所へ貢ぎに出ていると思われて離婚の危機だという事を・・・

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