第48話 ガム国の女王メロディー出陣する!
「なんて事だ・・・」
コンマイ国王の元へ1通の手紙が届いていた。
中身を見て頭を悩ませるコンマイ国王・・・
差出人はあのガム国の女王メロディーからであった。
『拝啓 前略 中略 以下省略 これからコンマイ国を攻めるから待っててねぇ~』
たった1行の手紙であるがコンマイ国王はこれがどういう事なのか良く分かっていた。
いや、世界中のTOPに立つ人間は漏れなく知っているのだ。
ガム国の女王メロディー、彼女は歌を歌う。
その歌には様々な種類が存在し人間の精神状態を容易く操るのだ。
それを武器としてガム国は世界統一を常に考えている国家であった。
だがこの恐ろしい歌を使用できるのが王家に連なる者だけであった為に今まで他国を堂々と攻め込む事は無かった。
攻めている間に別の国に襲われたら自国が持たないからである。
しかし、王家・・・つまり女王メロディー以外に同じように歌を使える者が現れればその話は覆るのだ。
「遂に動き出したのかあの国が・・・」
コンマイ国王はうな垂れる。
それはそうだろう、戦争自体は他国が相手であれば問題は無い。
実際問題コンマイ国の国民の魔力は既に世界TOPクラスにまで音ゲーの力で高められているのだ。
だが相手は歌を使ってくる。
戦争に置いて自軍を強化し相手軍を弱体化させるだけでなく洗脳まで遠距離から行なうのだ。
魔法も飛び道具もガム国の歌に掛かれば無力化させられる・・・
即ちそこにあるのは蹂躙と言う名の一方的な敗戦である。
コンマイ国王は唯一頼れるであろう男、ロクドーの元へ使いを送るのであった。
その頃、ガム国の王室にて戦争の準備が行なわれ出発を今か今かと待ち続ける兵士達の前に彼女は姿を現した。
腰まで長いウェーブの掛かった赤い髪の美女がそこに居た。
「メロディー様!」
「メロディー様!」
「メロディー様!」
誰もが肩膝を付いて彼女に頭を垂れる。
一段高くなった舞台の中央まで歩いた彼女は一同に向けて高らかに宣言する!
「我がガム国の歌唱力はァァァァァァァアアア 世界一ィィィイイイイイ」
「「「「世界一ィィィイイイイ!!!!」」」」
メロディーの高らかな宣言に一同は同調する!
敗北を知らない戦士達が立ち上がり武器を掲げる!
「開門!開けぇぇぇぇええええ!!!! ゴムワァアアアアアア!!!」
「「「「開けぇぇぇぇええええ!!!! ゴムワァァァアアアア!!!」」」」
ガム国の城門が開かれて一同は一斉に旅立つ。
向かうはコンマイ国、それを見送る赤髪の青年の姿がガム国の中に残っていた。
「姉様!頑張ってくださぁい!!!」
「リズム!国の守りは任せたぞ!!!」
互いが互いを歌で応援し互いを強化した。
ガム国の女王メロディーとその弟リズム、これがこのガム国の王家の血を受け継いだ歌使いであった。
兵士達は2人の歌により身体能力を強化されとても正気とは思えない速度で歩き続ける!
「くくく・・・待っていろよコンマイ国、お前たちの国の音ゲーは我々の物となるのだ!」
音ゲーが魔力を高める効果を持っている遊具と言う情報は既に流れており、ガム国がそれを手に入れれば更なる発展を約束されたも同然であった。
それを聞いた兵士達も士気を上げコンマイ国目指して突き進む!
恐るべきはメロディーの歌の効果であった。
兵士達はメロディーの歌によって数時間に一度完全に癒され寝なくても大丈夫な体となって夜通し進み続けるのだ。
今、世界最強の軍隊がコンマイ国目指して突き進んでいるのであった。
「っというわけなのじゃロクドー!」
「えっと、そのガム国って国がこの国を攻めてくるからなんとかして欲しいって事でOK?」
「うん、一応ワシ国王じゃからもうちょっと言葉遣いをな・・・」
「まぁ気にするな」
「なんでお前が偉そうなの?!」
ロクドーは折角自宅でゆっくり出来ると思って久々に道具屋のアリスと一緒に何処かに出掛けようと考えていた時に呼び出されて機嫌が悪かった。
「んで、そのガム国の歌が厄介って事でOK?」
「う、うむ、その通りじゃ」
「こちらの全てを無力化して自軍を強化する歌を武器に戦う世界最強の国ね・・・」
しかし、事は国対国の事である。
ロクドー1人にどうしろと言うのかと言うのも最もな話なのだが相手の歌の効果をどうにかしないと戦闘にすらならずに敗北するのは必須。
せめてその歌をどうにか出来ないかとロクドーを頼っていたのだ。
「それならさ、こんなのはどうかな?スキル『創造具現化』を発動!」
そう言ってロクドーはその場にそれを出現させる!
それを見たコンマイ国王は驚きに目を見開いた・・・
「こ・・・これは?!」
「これが在れば・・・だぜ」
「ほ、本当か?!」
ロクドーはその後、何台かそれをコンマイ国の城門上に設置していった。
「いいか!この件が終わったらいい加減休みをくれよ!俺もたまにはゆっくりしたいんだ!」
「分かった分かった、何にしても戦争に負ければお前の身柄も向こうに拘束されるだろうから負けるわけにはいかんからな」
「はぁ・・・まぁ俺に出来るのはここまでだから後は良いな?」
「うむ、大儀であった!」
ロクドーは片手を国王に上げてその場を去っていく・・・
やっぱり全然尊敬されてないコンマイ国王は少しションボリしていたが数日後の戦争に向けて兵士を集めるのであった。
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