第34話 リュリの大告白!
「うぅ・・・昨日は頭痛ぇ・・・飲みすぎた・・・」
ズキズキと痛む頭を押さえながら起き上がったロクドー。
昨夜はあのゾンビ状態から開放されたドワーフとエルフが協力して混乱する動物や魔物を逃がしたり壊れた村の修繕を行い、日が暮れてからは盛大なパーティが行なわれたのだ。
「ロクドーさん、起きました?」
リュリが部屋を覗き込んできた。
着替えている最中だったらどうするんだと思いながら頭に手を当てつつ挨拶を返す。
ロクドーの顔を見て頬を赤く染めているリュリに気付いたロクドーは話を反らせる。
「そういえばドワーフ達はどうした?」
「うん、朝からエルフの柵を修理して自分達の村へ帰る準備しているよ」
「マジか・・・どんだけタフなんだよ・・・」
ロクドーと共に大酒を飲みまくっていたドワーフ達の酒の強さに恐れを抱くロクドー。
それも仕方ないだろう、明らかにロクドーの倍は飲んでいるにも関わらず朝早くから肉体労働を行なっているのである。
そういうロクドーも夜中まで音ゲー三昧で数時間だけ寝て翌日出かけていた前世の事を思い出していた。
「それでロクドーさんはどうするの?」
「んっ?あぁ、そろそろ一度戻らないとな・・・」
そこまで話してロクドーは思い出す。
コンマイ国のDDRフリースタイルイベントを予定していた事を!!
「や、やっべぇー!!!急いで戻らないと!」
あれから何日か経過しているのを思い出したロクドーは今日早速旅の扉を使ってコンマイ国に帰る事にしたのだが・・・
「も、もう帰っちゃうんですか?」
ウルウルと目を輝かせて尋ねてくるリュリを見てロクドーは一つ気付いた!
そのままリュリの両肩に手を乗せて正面から見つめるロクドー。
「ふぇっ?!えっ??ろ・・・ロクドー・・・さん・・・」
心臓がバクバク言っているのを実感しながらリュリはロクドーとの距離を徐々に近づけていく・・・
ゆっくりと目を閉じて唇を突き出そうとした時であった。
「リュリ、俺と一緒にコンマイ国まで来てイベントの審査員やってくれないか?!」
「へっ?ふっふぇえええええ?!?!?!」
危うく流れに流されてキスをしようとしていたリュリはロクドーの言葉に驚いて目を開く、当然だが目の前には大好きなロクドーの顔が在りそれにも言葉の内容にも驚いて大きな声を上げてしまう!
「って審査員?!」
「そう、今度コンマイ国でDDR・・・って分かるよな?足でやる音ゲーだ。あれのフリースタイルイベントを企画しているんだ!」
「でっでも私・・・DDRはあまり上手く・・・」
「大丈夫!フリースタイルだから見て感じたままに点数をつければいいから!」
「でっでも・・・」
「リュリに一緒に来て欲しいんだ」
ロクドーは音ゲープレイヤーとしてDDRのフリースタイルイベントの評価方法に一つの基準を持っていた。
それは偏った評価の審査員ばかりを集める形には絶対にしないというこだわりである。
演技とスコアを高く評価するものも居ればクリアできれば自由にやっていいと言う者も居る、笑いが無ければいけないと言う者も居れば曲を上手く利用したプレイでなければいけないと言う者もいる。
まさに十人十色、だからこそフリースタイルのイベントでは勝敗が運で決まったりする。
そこがDDRの面白いところでもあるのだ。
「わ・・・分かったわ・・・一緒に行く・・・」
「あぁありがとう」
そして、ロクドーとリュリが外へ出た時であった。
「おめでとー!!!」
「リュリ遂にやったね!!!」
「私は猛烈に感動している!!!」
「ぶらぼー!!ぶらぼー!!!」
「愛は種族を超えるのだ!!!」
ロクドーの泊まっていた小屋の外にはドワーフとエルフ達が2人の出てくるのを待っていた。
そして、2人が出ると同時に沸き起こる拍手喝采。
祝福の様な言葉が掛けられロクドーは首を傾けて疑問に包まれるのだがリュリには分かっていた。
「も、もう皆さん違いますからね!!私はロクドーさんと・・・」
「いきなり駆け落ち宣言かー!やるねリュリー!!!」
「だから違うって言っ・・・」
「もし子供が出来て2人の時間が欲しかったら俺が預かるから安心してくれ!」
リュリの言葉を再度遮ったのはロクドーを連れて来たドワーフのギンタであった。
小柄な体から発せられた大きな声でリュリの声は完全に遮られ涙目になりながらリュリは大声で叫んだ!
「だから違うって言ってるでしょ!ロクドーさんの事は大好きだけどまだ告白もしてないんだからね!」
その言葉でシーンと静まり返る。
そう、リュリはロクドーの真横で大声で大好き宣言をしたのだ。
それに気付いたリュリは固まりながらゆっくりロクドーの方を向く・・・
「まっまぁ嬉しいよ・・・気持ちは受け取ったけど・・・返事は待ってくれないか?」
照れながらのロクドーの言葉に顔を真っ赤にしながらも拒絶されなかった事が嬉しくて何度も何度も顔を縦に振るリュリ。
その様子にホッこりした周囲の人々は自然と散り散りに解散する。
その心遣いが逆に2人の仲を進展させるようでギクシャクしたまま2人は旅の扉へ向かいコンマイ国へ移動するのであった。
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