第9話 ビートDJマニア 2ndMIX登場!

「今回の点数にはボーナスポイントが加算されているのです!」


ボーナスポイント、その言葉に誰もが近くのプレイした事のあるプレイヤーに視線を向けるが誰もが首を横に振る。

そして、ロクドーはこのゲームに隠された2つのボーナスポイントの秘密を話す!


「このゲームには2つのボーナスポイントがあり、一つは全ての譜面をグレート判定でクリアすると獲得できるパーフェクトボーナスの3110点が入ります。」


これは数名が既に体験していたのだろう、何人かが頷いていた。

だがこの初代ビートDJマニアには一つ問題があって、フリースクラッチゾーンと呼ばれるその間でスクラッチを何度回しても大丈夫だが1回も回さないとミスになるゾーンが在る。

そして、これがある曲はこの部分がどうしてもグッド判定しか出ない為、理論値の100000点が出せずこのパーフェクトボーナスが出ない曲が存在する。

この11月20日もその1曲であった。


「そして、もう一つのボーナスポイントが・・・ボーダーボーナスです!」

「ぼーだー・・・ぼーなす?」


何人かが口々に呟く。


「これはクリアラインになるゲージをギリギリ赤ラインに到達した所でクリアすると加算されるボーナスポイントで5730点入ります!」


そう、これが隠されたボーナスポイントであった。

実は実際に加算されたプレイヤーも居たのだろうが英語が読めない上にギリギリクリア出来た人はスコアを気にせずにクリアした事を喜ぶので気付かなかったのだ。


「ですので、この結果に不正はありません!」


ロクドーの断言に場は静寂に包まれて・・・

ナコム国国王が何かを言おうとした所で・・・


「そうか、勝負は時の運とも言う、俺の完敗って訳だ」


トムに対しアトラン自身が自らの敗北を認めたのだ。

特に合計得点勝負で結果を今回は出したが7曲中5曲はトムが勝利しておりBADハマりさえ無ければ確実にトムの勝利だったのだからそれは仕方ないだろう。

ナコム国国王も国の代表が自ら敗北を認めたので何も口に出す事が出来ず黙った。


「け、結果、コンマイ国の勝利です!」


司会の高らかな勝利宣言に場は歓声に包まれた。

こうして異世界初の音ゲー対決は幕を閉じた。

ナコム国は領地の占領が出来ずに終わりコンマイ国の同盟国として手を取り合う事が確約された。

これはロクドーがコンマイ国国王に前もって話しておいた通りにしてもらった。

それにはロクドーの約束事があったからだ。


「それでは、今この場に在る2台の筐体をバージョンアップさせて頂きたいと思います!」


ロクドーの宣言に会場の人々は一体何を言っているのか理解できなかった。

しかし、ロクドーが1代目の筐体の前に立ち両手を向けて祈りを捧げる・・・


「スキル『創造具現化』を発動!」


ロクドーの目の前の筐体が光り輝き上に表記されていた看板の文字が変わる。

そう、これが地球と言う星に音ゲーと言う存在を一気に広めた伝説の音ゲー・・・


『ビートDJマニア 2ndMIX』であった!


収録曲が更に12曲増え最高難易度の☆5の更に上の☆6レベルと言う難易度の追加!

更には隠しコマンドでダブルプレイと譜面が途中で消えるヒデュンプレイのオプションの追加がなされた!

疲れるロクドーの背後でその存在に驚いた国民の物凄い歓声が響き場は熱狂に包まれる!


勿論、最初にプレイするのはトムとアトランであった。

ロクドーはもう1台のバージョンアップを行なっている間に会場に流れる新曲!


「なんだこの配置は?!」

「これでレベル2ですか?!」


彼らがプレイしているのは数々のプレイヤーを泣かせた名曲『どういうラブミー?』だ。

パララララン、パララララン、パララララン♪と言う独自のリズムを演奏させる鍵盤の流れる配置は数々のプレイヤーを泣かせた。

そうしている間にももう1台の方のバージョンアップが完了しこちらには観客の人々が押し寄せていた。


「ご主人様、お疲れ様です。」

「あぁ、エミか助かるよ」


完了したと単に消費MPが多過ぎて意識が遠退きそうになったロクドーにエーテルを差し出すエミ。

それを一気に飲み干しとりあえず意識を失わない様に留めたロクドーだったが今度はナコム国国王に肩を掴まれて・・・


「ロクドー君と言ったな?どうだ、是非我が国にもあれを用意してはくれないか?」


ロクドーはチラリとコンマイ国国王の方を見ると嬉しそうに1回頷いた。

きっとこれを確約する事で政治的に何か有利な取引を行なったのであろう。

俺はそれを快く了承し数日後のナコム国国王の帰国と共にナコム国に出向いて数台の設置を義務付けられた。

それまでの間はコンマイ国の筐体のバージョンアップと中々忙しい日々になりそうだがこの世界の人達がこんなに音ゲーに熱狂している姿を見れるのならば喜んで手を貸そうと考えるロクドーであった。


「なんだこの曲?!レベル☆6だってよ!?」

「しかも1曲じゃねーぜ?!」


なんだあいつら3曲目のレベル☆5の新曲『オーバードザードラダブミックス』をいきなり高得点クリアかよ・・・ははっ

ロクドーはMPの消費が激しい中、二国の代表となっている新人プレイヤーの2人のプレイを最後まで観戦し終わったら自分の店に戻りゆっくり休もうと考えるのであった。


「うぉおおおお!!!」

「なんてやつらだ!?レベル☆6クリアしやがったぁー!!!」

「すげぇえええええ!!!!」


彼らがプレイしたのはレベル☆6の中でも一番簡単と言われる名曲『デープクリアーアイズ』である。

この後もう一台の筐体で伝説の鬼曲『スカ顎々』が流れてこの場のプレイヤーの目が絶望に包まれるのをロクドーは見て国王に挨拶をして会場を後にするのであった。

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