3
姉様を閉じ込めた部屋から出て、僕は地下牢に下りた。
「姉様は泣いてたよ。君が僕にくれた指輪を見てね」
そこには手足を枷で繋いでおいた姉様の想い人がうなだれていた。
姉様に言ったアレは半分本当で半分嘘。
姉様に変装した僕がこの男から指輪を奪った。
僕の変装も見破れずに簡単に騙されたこの男が、姉様のことを本当に愛しているわけないじゃない。
だから、罰を与えているんだ。
「リアに、会わせてくれ…」
「嫌だよ。無理。絶対却下。せっかく姉様が僕だけのモノになるって言うのに。それを自ら打ち壊す馬鹿がどこにいるっていうの?」
少なくとも僕は馬鹿ではないね。
絶対にそんなことさせないもの。
姉様の目の前で殺すのと、ここで殺すの。
どっちが素敵かなぁ?
姉様が僕の大好きな真紅に染まるのも捨てがたいけど……
きーめた。
「お前達は、双子の姉弟、だろ?」
「だから?そんなのおかしいって?最高の誉め言葉だね」
僕と姉様の間に普通の愛なんていらない。
必要なのは、不変の愛。
未来永劫続く愛だよ。
憎しみと紙一重の、ね?
「リア、を自由に…げほっ!!」
「うるさいなぁ。泥棒のくせに、口出ししないでくれない?不愉快だよ」
姉様を自由に?
冗談じゃない。
姉様は綺麗で単純ですぐ騙されるから、またあんたみたいな奴に引っかかってもらっちゃかなわないからね。
姉様の色んな表情を見るのは僕だけじゃないと。
姉様は生まれた時から、ううん、生まれる前から僕のモノなんだから。
そこら辺を姉様にも早く分かってもらいたいものだよ。
僕がいくら心配したってしきれやしない。
「狂ってる……お前は、狂ってるっ!!」
「…………………そう。じゃあ、その狂ってる僕が姉様を慰めている所をあの世から指をくわえて見てなよ。……バイバイ、愚かな人間さん」
ドスッ
「ぐっ…ごほっ……リ……ア……」
男は僕が男の胸に突き刺した剣のせいで死を迎えた。
ふふっ
あははははっ
これでやっと姉様は僕だけのモノ。
この屋敷には、生きている者は僕と姉様だけになったんだから。
最期に姉様の名前を呼ばせたのは失敗だったけどね。
姉様の名前を呼んでいいのは僕だけなんだから。
僕だけ。
あぁ、なんて幸せなんだろう。
こんな気持ちになるなら、もっと早くに実行するべきだった。
今初めて自分が馬鹿なことに気づいたよ。
いやだいやだ。
さて、姉様の所に知らせに行ってあげようかな?
楽しみだなぁ。
フフフ……
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