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「姉様はさ、無知だった」
「……………」
「姉様だけ、愛されて、何の不自由もなく暮らして来れたなんて、ずるいよ。ずるい。だから、次は姉様の番」
「………何を、させるつもりなの?」
姉様は頭が良くて助かるよ。
あの男達みたいにごちゃごちゃわけ分からないこと喚いたりしないもんね。
本当、あの時はまいったな。
命乞いなんてされた日には、ハハ、思わず手が滑っちゃったよ。
「姉様はずっと僕だけを愛してよ。僕だけを見て、僕のことだけを考えてよ」
「そんな、こと……」
「できなきゃ…………
………………死ぬ?」
死んだらずっと僕のモノだよね?
綺麗で優しい姉様がずっと僕だけのモノになる。
それでもいいなぁ。
「…………それは…」
「そっかぁ。残念。なら、仕方ないよね?僕を愛して」
姉様に拒否権なんて、もちろんないからね?
愛か死か、生きるか死ぬか。
どっかの吟遊詩人が唄うような文句だね。
「私には、恋人がいるのよ。その人のこと、愛しているの。とっても。ジョエルも外に出たらそんな人が…」
「いらないなぁ、そんな人。姉様がいい」
「そんな…いい子だから、そんな事言うのやめてここから出して」
やっぱりあの男も邪魔だなぁ。
「ね?姉様。姉様が想いを寄せていたあの男。実はね、他にも女がいたんだよ」
「…………………うそ、嘘よ、そんなの!!」
「嘘じゃないよ」
僕が姉様に関係することでしくじるわけないじゃない。
「これはなーんだ?」
「それは……あの人の、指輪」
「相手が男にもらったんだって」
「そんな……だってそれは、二人で揃えた…何で……嘘よ…そんなの……嘘に決まってる」
後少し。
後少しで姉様は……僕のモノになる。
早く早く堕ちて。
僕がいる所まで。
ずっとその時を待ち望んできたんだよ?
「姉様はさ、裏切られたんだよ。あの男に。可哀相な姉様」
「嘘よ嘘よ嘘よ!」
姉様は泣き崩れた。
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