They are perverts!

サバチー

They are perverts!

この世はアブノーマルに溢れている

身から滲み出る不審者臭からのやはりアブノーマルであったり、爽やかスマイルが好評を博すイケメンでもアブノーマルであったりする

古の時より嗜み続ける人類はいつの日からか『変態力』を操れるようになっていた

『変態力』---それはすなわち力であった

ほんの100年前までは変態力が強いものが権力を手にし、変態力が強いものが世界を牛耳っていた

だがそんな変態力も鳴りを潜め、今や民主主義なるものが世界を先導し、変態達は迫害され始めていた

そして変態力を行使する者は影に身を潜めた

しかし高い変態力を持つものはいつの日か我慢の限界が来て、そういう者は軒並み『ストリートファック』---変態力同士での殴り合いを行うようになったのである




さて、俺が冬の寒さに凍え、ポケットに手を突っ込んで俯きがちに歩いている時であった

直ぐ側に変態の力を感じ、俺はふと目を上げるとそこには狂気に染まった笑顔の男が居た

「ふ…ふへへへ…お兄さん、一般人じゃないよね?」

男が声をかけてくる

「そっちこそイヤらしい匂いがプンプンするぜ」

俺は迷わず言葉を返す

どうみてもこいつは『ストリートファッカー』だ

外気で冷えきった体を温めるためにコイツの相手をしてやろうと思ったのだ

「ひゃはっ!俺の変態力でミンチにしてやるぜ!」

男はすぐさま構える

俺はまずは様子見をすることにし、相手の先制を待つ

【おっぱいで窒息したい!】

と、男が攻撃を仕掛けてくる

先制にしては弱い攻撃である

どうやら相手も様子見の攻撃のようだ

【見えないほうがなんかいい!】

俺はとりあえずその攻撃を受け流す

このような貧弱な攻撃相手に自分のフェチを使う必要もない

すると続けざまに男は攻撃をぶち込んでくる

【巨乳の子にはカウベルをつけたい!】

今度はなかなかマニアックな攻撃だ

先ほどのような防壁では突破されかねない

念には念を入れ防御に移る

【女の子のリコーダーはおやつにはいりますか!?】

俺は防御を取ったつもりが思いがけずカウンターも入れてしまった

女の子のリコーダーは舐めるものという常識を昇華させおやつにしてしまうという技だ

男はダメージを負ったことに苛立ち、あからさまに変態力を高め始めた

【風呂あがりは若い女の子のお乳が一番!!!】

「ぐわあああああ!!!」

なんたることか、俺にすさまじい変態圧が襲いかかってきた

風呂あがりに母乳を飲む、そんなことを考えるだけでも相当なダメージ源になるが更にそこに【若い女の子の】という限定化、そして母乳を【お乳】と表現するこだわりっぷりが力を加速させる

俺はその攻撃を受けきれず民家の塀にビシビシとめり込む

「ひゃはは!もうおしまいかい?変態の風上にも置けないんじゃねぇの~?」

男は俺に挑発の声をかけてくる

確かに今の一撃で俺の体はズタズタになってしまった

口からは血が流れ出ているので恐らく内臓の何処かがイッちまっただろう

だが、だがしかし

「……見切った」

「何ぃ?」

コイツが放ってきた三回の攻撃、これを思い返してみればわかる

コイツは一フェチ特化型戦士だ

そしてそのフェチとは

「お前は巨乳専門の一フェチ特化型戦士だ」

「………そうだよ!俺は巨乳専だ!だがそれがわかったところで俺とおまえの力量の差は明白!お前はこのまま俺に殺されるんだよ!」

フェチを見破られ男に若干の焦りが見え始めた

これは俺の統計学的に思うところだが巨乳専の戦士は余裕が無い奴が多い

まずは変態力外からの精神攻撃で相手を揺さぶり無駄に消耗させる手段に出た

「お前が巨乳専とわかればそれで充分だ。いくらお前の変態力が高く、強いフェチを持っていようとお前は俺に勝てない」

男の頭にビキビキと青筋が浮かぶ

「ハッタリかましてんじゃねぇぞ!今すぐにでもトドメを刺してやらァ!」

「おお、ハッタリだと思うんならもっと見せてくれよ。お前の攻撃をよ。どうした頭に青筋浮かべやがって、チンコみてぇだぞ」

「てめぇ、いい気になってんじゃねぇ!喰らいやがれ【将来の夢はおっぱいを吸うだけの人!!!!!】」

男は変態力を最大出力まで上げ、自身の最大の思いの丈をぶつける

やはり挑発に乗ってきたな

俺はボロボロの体を起こしにやりと笑ってカウンターを入れる

【おっぱいは食べるもの!!!!!】

男の攻撃は止まり、そればかりか男の攻撃は方向を変え俺の攻撃と一緒になり男にぶつかる

すると男は先程の俺とは比にならないスピードで吹っ飛び、近くに駐車してあった車のフロントガラスに叩きつけられた

「うぅ……ゲホッ!…何故だ、変態力は確実に俺が上回っていたはず……」

「ああ、確かにお前のほうが変態力が上だった。正面から殴りあっていたら俺が負けていただろうな」

「で、では…何故…」

「簡単なことだ。お前は一フェチ特化型の戦士なのに対し、俺は多フェチ技術型の戦士だった。それだけでは勝敗は決まらないが、俺の多フェチの中に巨乳フェチを内包する『おっぱいフェチ』があったということだけだ」

「!!!」

フェチの単純な上下関係、この男は巨乳『だけ』が好きなのに対し俺は巨乳『も』好きなのだ

俺はその隙に漬け込み、同じおっぱいというジャンルでより大きな枠組の中で、そしておっぱいは吸うものという常識を覆し、なお賛同できる内容の攻撃を繰り出した

そしてその賛同は今までの奴の中では簡単に受け入れるというよりは、軽いカルチャーショック、そして(その手があったか!)と感じてしまったためカウンター攻撃となったのだ

男はガクッとうなだれ

「俺の負けだ……一思いにトドメを刺せ」

と言った

俺は答えた

「お前を二度と妄想できない体にするために俺はストリートファックをしたわけではない」

「………」

「だが、最後に一言だけ言わせてもらおう」

「な、なんだ?」

「おっぱいに貴賎なし」

「!!!!!……………完敗だ…」

俺はそれだけ言うと傷だらけの体を引きずりながらその場を去った




おっぱいに貴賎なし…

そのとおりだ

そしてフェチにも貴賎はない

それを確かめるために俺はストリートファックを続けるのだ

変態達が権力を持つ

そんなことはどうだっていい

今はただノーマルとアブノーマルが理解し合えるそんな世界になってほしい

そんな願いを抱きつつ、俺はまた寒さを感じ、特殊なお風呂に入りに行こうと思うのだった

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They are perverts! サバチー @sabachi38

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