第29話
自室に戻った俺は制服からパジャマに着替えた。
どうして、あんな形でカミングアウトしてしまったんだろう。
あの瞬間、まるで置いてきぼりでもくった様に、目を潤ませて、様子を伺いながら話しかけてくる兄貴を、まだ胸が締め付けられる愛しいと思う自分と、自分だって散々山科唯とよろしくやってたくせに何を今更と、兄貴を避難する自分で二分していた。
その後、口を開いた結果があの様である。
兄貴と距離を取りたかった。それでも、兄貴に振られたから、違う男を作ったんだと決定的な決別を避けて、中途半端に自分はゲイだなんて、カミングアウトに逃げた。
兄貴はそういうのに偏見を持つタイプではない事はわかっていた。だから言えた。
今になっても、何をやってるんだろう俺は…そう思いにふけっていると、ドアをノックする音がした。
トントンっ。
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