第25話

「ちょっと、盛りすぎちゃったかな…ははは。」



俺は、兄貴が口にした言葉を頭の中で反芻していた。



昨日は久しぶりに兄貴と一緒に過ごして楽しかった。最近は家に居てもいつも山科唯と電話していたから。




俺はどうしたいのだろう、手が届かないのに、求めて、待って、待って、待ったって、絶対兄貴は俺の恋人にはなってくれない。



いい加減諦めなきゃ。




そう思った所で、腕時計に目を落とす。時刻は待ち合わせの時間を5分過ぎた所だった。



腕時計から目線を上げると、丁度相手がこちらに歩いてくる所だった。彼は、俺の姿を見つけて少し小走りになる。



自分でいうのも何だか、その手の誘いは絶えなかった。いつも兄貴の手前断ってきたが…。




これが俺の出した答えだった。

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