第19話
最近、家に帰るのが憂鬱だ、前はあんなに兄貴と時間を過ごせる家が好きだったのに。
10年前、初めて訪れたあの家。俺はそれまでシングルマザーの母と小さなアパートで二人暮らしだった。時代が違う、昔より随分偏見は減ったと言ってもそれはまだまだの事。
狭い家や、片親だという事でクラスメートに軽くからかわれたり、意地悪を言われたりは日常茶飯事であった。
そんなある日、母に引き連れられて言った先が兄貴の家で、向かい入れてくれた兄貴とお父さんは、本当に優しく、僕には人生最高の安息の地に思えた。
兄貴を好きになるのは当たり前だったんだ。
暫く、小さな昔話を思い出して、俺は家路へ着いた。
すると、駅で山科唯が立っていた。
俺を見て近づいてくる。
「ちょっと、話があるんだけど…」
彼女は神妙な顔でそう言った。
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