第13話
しかし、兄貴はその日帰って来なかった。
外は大粒の雨が降っていた。家の中に居ても、ザーザーと大きな音が聞こえる。
枕に顔を埋めながら、俺は、涙が流れるのをそのままに、構わず枕を濡らしていた。
女というだけで、兄貴を自分のものに出来るなんて。俺は、俺はこんなに近くにいて、ずっと兄貴を思ってきたのに。悔しさと、悲しさと、自分のこのどうする事も出来ない、この育ち過ぎた、熱い身体中を締める感情のやり場を、いつもの如く悲しい妄想で消化するしかなかった。
兄貴は山科唯からの誘いを断ると、俺の方をじっとり見詰めるんだ。
「断って欲しかったんだろ?そんな目、してた。」
そして、俺が返事に窮していると
「さっきから、俺の事じっと見詰めてさ、満は俺のどこが一番見たいの?」
そういうと兄貴は僕の局部にそっと手を置き
「俺のここが見たいんだろ?」
そこ迄妄想した所で俺は果ててしまった。
大雨が、全て、俺の汚い妄想をも、洗い流してくれる様な気がした。
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