第2話

「博巳君、手を繋いでいい?」



僕の隣にいるのは、山科唯である。制服のスカートから程良く肉付きのいい、細くて綺麗な足を覗かせている彼女は、頬を染めながら話し掛けてきた。



彼女は数週間前から付き合い出した、僕のガールフレンドである。今日は一緒に僕の家で試験勉強をするつもりで、一緒に下校していた。



「いいよ。」



僕は本当は心臓が飛び出しそうなのを必死に抑えて、少し照れながら、平静を装って返事をした。




周りからみると事実どおり、二人はよくいる付き合いたての高校生カップルにみえたであろう。






キーーーーーーっ!!





そんな二人の前に自転車に乗った一人の少年が現れた。




「兄貴、腹へった、今日飯どうすんの?兄貴の当番だろ?」




少年は口を開いた。そう、彼は1学年下の同じ学校に通っている僕の弟である。




「あー、今週の当番俺だっけ?どうすっかなぁ。カレーでいい?山科も手伝ってくれる?」




「勿論いいよ。」




わが家は父も母も共働きで帰りが遅いため、家事は兄弟二人でこなしていた。




「じゃあ、邪魔しちゃ悪いから、先帰ってるから」と言い残して、満が自転車で軽快に走り去っていった。



「弟くんて、超イケメンだね。」


「あ、俺達似てないだろ?」



そう、俺達は血の繋がりはない。満は10年前、父さんが義母さんと結婚した時の連れ子である。彼は父さんと特に俺に懐いてくれた。だから家庭環境は複雑ながらも我が家に悲壮感は全くないのは、小さい頃から人懐っこくて、社交的な満のお掛けだろうと、父と僕はいつも話していた。




「じゃあ、お家いったら、二人きりにはなれないから…」と唯は僕の頬にキスをした。

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