誰にも知られてはいけない

杏仁豆腐

第1話 プロローグ

俺の一番幼い記憶…今でも鮮明に覚えてる。


10年前、母さんに手を引かれて、僕は兄貴の家に初めての行った。


人見知りする僕に、兄貴は飛びきりの笑顔で迎えてくれたんだ。


僕は一目で兄貴に恋に落ちたんだ。




兄貴の笑顔が好き。




この気持ちは誰にもしられちゃいけない、僕だけの秘密。


物心付いたときから、僕は兄貴が好きだった。


いつも僕の側で笑い掛けてくれる兄貴。


ずっと、僕だけのものだと錯覚していた。


あの笑顔が他の人に向けられる日がくるなんて…。


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