僕のペットは豚の貯金箱

ソー笹内

我が家に豚がやってきた

僕は小さい時からお金の扱いが雑だった。小学校に入り、少量ではあるが小遣いというものを貰い始めた。

僕は嬉しかった。嬉しかったまではいいのだが、貰ったお金をすぐに使わずにはいられなかった。

僕は小遣いを貰っては一日で使いきり、両親に叱られた。

ある日、そんな僕を心配し、父が貯金箱を買ってくれた。

プラスチックでてきた四角い貯金箱だった。

父は貰った小遣いの半分をこの中に入れなさいと言っていた。

でも、そんなもの全く意味がなかった。

取り出し口は簡単に開けられてしまう。

結局一銭も貯められずその貯金箱は使わなくなっていった。

3年ほど経ち、僕は前と変わらずお金をすぐに使うという癖をなおせずにいた。

人はそう簡単には変わらないのだ。

というか、僕はこの性格好きだった。

両親は呆れている。


同年のクリスマスの日。

僕の枕元には丁寧にラッピングされたプレゼントが置いてあった。

僕の家庭には1度もサンタクロースからプレゼントが届いたことはなかった。

僕は冷静を装いながらも、内心とてもワクワクした気持ちに包まれていた。

我慢出来ず中身を見た。

その中身は一瞬にして僕の表情を曇らせた。

豚である。豚の貯金箱である。

「またかよ」僕は小声で呟いた。

サンタクロースは親御さんの意見を尊重するらしい。

ひどいものだ。

リビングに行き、両親に貯金箱のことを話した。

両親はあらかじめ知っていたかのように「そのなかにお金を貯めなさい」と。

「はい、はい」と僕はつまらなそうに答えた。

そして僕は、今月の小遣いを貰っていなかったことを思い出す。

両親はクリスマスということもあってかいつもの2倍ほどの小遣いを僕に与えた。

一瞬で僕の表情が明るくなった。

いや、明るくなったというか、悪人面というか。

とにかく先ほどの曇った顔が嘘だったかのように消えていったのである。

しかし、両親はその小遣いを全て豚の貯金箱の中に入れてしまった。

だが、どうってことない。

だって、この豚のお腹には取り出し口が付いて…

ない!

そう、この豚は昔ながらの叩いて壊す貯金箱なのである。

絶望した。

絶望と喜びのミルフィーユである。

流石に貰ったばかりの豚を破壊するわけにはいかない。

してやられた。

両親は僕を見て嘲笑していた。

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僕のペットは豚の貯金箱 ソー笹内 @SORANIMAUAHO

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