第12話我慢の限界
ここ最近変な夢を見る…その夢の中の私は自分の両親を殺害していた。
その現場に来たシロナも殺害していた。
これはきっと私の願望。
私はお義父さんの事を殺したいと思ってるんだ…だからあんな夢を見る。
そしてシロナは私の事に気付いてくれない罰。
……わがままで自己中心な考え方だけど、夢の中の私はそう思ってシロナを殺した…。
多分きっとこのままじゃ夢が正夢になるんじゃないか?…そう思えてきて私は恐怖する。
そんな気持ちが蠢いてて私はシロナに吐き出そうと思った。
「私ね?」
どう切り出せば良いのか分からない…でももう我慢は出来ない。
私は言葉を放つ事に集中した。
「両親が離婚してお母さんにいっぱい苦労かけて…やっとお母さんは幸せ掴めて…」
何をどう話して良いのか頭の中が困惑する。
「でも…でもね?私はね…?」
ここまで話してるくせに本当に言っていいのか?と躊躇いが邪魔してくる。
こんなの…私が我慢すれば良いだけの話なのに…。
「わた…私は……」
そうだよ私はお母さんにいっぱいいっぱい苦労をかけたじゃないか!
今だって苦労をかけてる…ならお母さんの幸せを邪魔するわけにはいかない!
我慢だ!我慢すれば良いんだ…
「リオ?」
心配そうにシロナが見てくる。
気付いたら{ポタポタ}と涙が流れていた。
そうか私泣いてたんだ…だからシロナがあんなにも心配そうに見てるんだ…
お母さんの事は大好きだしお母さんには幸せになってもらいたい。
だから私は我慢する…我慢するんだ!
「リオ大丈夫か?」
そう言って私の頭を撫でるシロナ
でも……
「もう我慢したくない…!!」
私が我慢すれば良い…ずっとそう思ってた。
でももう限界なんだ…自分の事だもん分かるよ…このままじゃ本当に夢の様になっちゃう
「お母さんが再婚して…これからお母さんが幸せになれるんだって!これから幸せなスタートが始まるんだって!…そう思ってた」
「でも!それは…その幸せは有限で…私はずっと我慢してきて…!」
言葉が溢れてくる。
このまま私はシロナに今まであった事を全て言う事にしたーー
※
リオの話は想像の斜め上…と言うか想像の範囲外と言うか…正直気持ちの良い話じゃなかった。
怒るだけなら簡単だ。
でもそれだけじゃない…リオの気持ちを考えると悲しくもなるし気付けなくて申し訳ない気持ちにもなる。
そんな色んな感情が渦巻いてるけど今は…今出来る事はこれしかない。
ガバッ
俺はリオを抱きしめる
「お前は頑張ったよ…我慢したよ…でももう我慢しなくて良いんだよ!」
「うわああああああああん」
リオは俺の腕の中で泣く。
今まで耐えてきたものや抑えていたもの…その全てを吐き出す様に涙を流した。
あの日の事を思い出す。
リオはマオさんは一突きで殺していたが、おじさんには何度も何度も包丁を突き刺していた。
ちゃんと考えれば分かる事じゃないか…それ程リオはおじさんを恨んでいたんだ…憎んでたんだ。
でも俺は話を聞くまで何も分からなかった…分かってやれなかった。
結局俺は突然の事だった…と言い訳してリオの事を理解しようとしなかったんだ。
くそっ!
あの時はっきり言ってたじゃねえか「シロナはお兄ちゃんみたい」って!
この世界のリオが言ったわけじゃないけど、それでもリオは俺をお兄ちゃんみたいだと頼ってくれてたんじゃねーか!
駄目な兄貴だよ…俺は駄目な兄貴だ!
「ごめん…ごめんなリオ…」
「なんでシロナも泣いてるの…?」
そんなリオの言葉に俺は自分が泣いてるのだと理解する。
不甲斐ない自分に対する怒り!あの時救ってやれなかった悔しさ!少しでもリオの事を怖いと思った自分の弱さ!
その全てが涙として流れていたーー
※
キーンコーンカーンコーン
昼休みの終了を告げる鐘の音が鳴り響く。
結局泣いただけで終わったけど…
「な、何よ?」
リオのこの顔を見れば良い方向に行ったと断言できるからここで良しとしとこう。
あの時聞けなかった言葉…確かに俺は受け取った。
ならば後は対策を練るだけだ。
リオの我慢した気持ちを踏みにじる様な事をしやがって…俺は絶対に悪魔を許せない。
それにおじさんもだ。
あの人も何とかしないといけないよな…でもこの場合警察に言えば良いのか?
…良く分かんねぇな…てっとり場合のはマオさんにこの状況を伝えるのが1番なんだが……リオの事を考えると言っていいのか…。
奇跡のその先へ(仮) @NIAzRON
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