第11話天使と悪魔

俺はのか?

記憶を思い返す…そうだ俺はカゲトに殺された。

壁に掛けてある時計を見る…時刻は7時10分になろうとしていた。



「やばっ!」


ここから学校には40分ぐらいで着く。

だから最低でも20分頃には家を出ないといけない。


「飯食ってる余裕ねーな…」


バタバタと着替えを済まし1階に移動し歯磨き等を済ます。


「シロナー?起きたのー?」


母さんの声が聞こえるが無視し俺は準備に取り掛かる。

あぁーもう!なんで起こしてくれなかったんだよ…と心の中で悪態をつく。



グルルルル…


お腹がエネルギーを欲しがっている。

だが、我慢だ!食ってたら遅刻する!


えーと…そだ!鞄だ鞄。


バタバタと2階に上がり鞄を見つける。

毎晩くろねぇから明日の準備をして寝なさいと言われているので準備は万全だ!くろねぇありがとう!


そして部屋を出ようとした時…



「シロナ!」


声が聞こえた。



「ラピアなんだよ!?今急いでるんだよ!」


「それは何となく分かりますが少しお話があります。」


「話〜?後だ後!」


「シロナは私に無いんですか?」



その質問に{どくん}と心臓が跳ね上がる。

確かにラピアには聞きたい事がある。

そりゃあ一杯あり過ぎて何から聞けば良いか分からないほど一杯ある…でも今は1つだけしたい事があった。



「だぁー!もう分かったよ!」


俺はそう言って部屋の窓を開ける。



「二人ともー!先に行っててくれー!」

外で待ってるミズとセリナにそう言って窓を閉める。



「遅刻は出来ないからな…ほんとに少しだけだ」


「すみません…それで、えーとシロナ…私にあるだろ?」


「あぁ…なら俺の質問に答えてもらうぜ?」



そうだ…ラピアにはしたい事が有るんだ。

それは2回目のリオの時と…そして3回目の時の話だ。


「ラピア…俺が殺されるの知ってただろ?」


と、言うのも2回目のリオの時を思い返してほしい。

あの時は俺は謎の声の言う事を信じてリオの家へ行った…あの時の謎の声はラピアだ。


それから3回目だ…ラピアはと言い俺に自分の羽を渡した。

普通に今後の為に気をつけて、って意味にも解釈は出来る…でもあの感じ…そう確信を持って言ってる感じが妙に引っかかったんだ。



「やはり気付いてましたね。」


「やはり…?」


「決して隠すつもりは無かったんです…あの後ゆっくりと話せると思ってて話を省略したんです。」


「省略?」


「聞いてくださいシロナ…きっとあなたの疑問にも答えれる話だと思いますので」


「分かった…話してくれラピア」



「私達天使は天界へ住み神様の身の回りの世話や人間達を陰からサポートする存在です。なので私達天使は常に神様からの加護を受け清らかな心を持っていますーー」


「ーーですが、何かしらの理由で負の感情を抱いた天使は負の心を持ってしまい白く美しい羽は黒く染まりその黒が全身を包んでいきます……それが悪魔です」



「なっ!?」

俺は驚きの余り声を出してしまう



「悪魔となった天使は天界も地上も滅茶苦茶にしてしまいます。なので私達天使は同じ天使として止めなければいけませんーー」


「ーーなので悪魔からは私の姿が見えます。同じ天使ですからね。でも完全に人間に憑依した悪魔は見れません…ですが負のオーラ…と言うのでしょうか?禍々しいオーラは感じる事が出来るんです」


「つまり私は春風リオの時も宝遊カゲトの時も負のオーラを感じていたんです。」



なるほど…2回目を思い出す。

あの時ラピアは春風リオが危ないとしか言ってなかった。

どう危ないのか詳しく言わなかった事の疑問はそー言う事だった訳だ。


そしてカゲトの時もカゲトから負のオーラを感じていて俺の危険を察知してた訳か……でもそれなら…



「それならせめてカゲトに気をつけろーとかアドバイスは出来ただろ?」


「確かに…確かにそうなんですが…あの時と言いますか…があったと言いますか…いや、それを言うなら最初の時も……」


「なんだよ!しゃっきりしないなー!何か思う所があったのか?」



「いえ、気のせい…だったかもしれません…あの時注意出来なくてすいませんでした」


「あ、いや…そんな謝らなくても…」



疑問は晴れたのだが、ここで1つ別の疑問が浮かんでくる。



「なあラピア?悪魔ってのは負のオーラを纏った天使…って事だよな?」


「はい…正確に言うと負の感情に飲み込まれた天使…ですが」


「だったらその負のオーラを感じて悪魔が誰なのか分からないのか?」


「それは難しいです。悪魔は完全に人間に憑依し、負のオーラを抑えてます」


「いや、だからさ?悪魔は負の感情を爆発させてリオやカゲトをおかしくしたんだろ?完全に人間に憑依してるとしてもよ…誰かの負の感情を爆発させる瞬間、悪魔は人間から悪魔に戻る訳だろ?つまりさ…」



「シロナの言わんとしてる事は分かります…が、それは無理です。確かに悪魔に戻らないといけませんが、それは一瞬の話…よっぽど近くに居ない限り察知できません」




…ふむ…。


つまりお手上げって事か…。

時計を見る時刻は7時30になろうとしていた。


「うわっやべっ!とりあえずこの話は学校着いたらだ!」


そう言い{バタバタ}と俺は家の中を走り外へ飛び出す。



「遅刻したらくろねぇに怒られる…それだけは絶対に阻止しないと…」


俺は通学路を全速力で走るのだったーー







「おーいミズー!セリナー!」



通学路を走ってる時に見覚えのある後ろ姿が見えた。

先に行ってる筈のミズとセリナだ。



「お前ら走んないと遅刻するぞ!」

そう言って俺は二人を追い越す。



「ちょ、ちょっとシロナ!?」

戸惑いながらもセリナは走り出す。



「え?え?シロくん?セリちゃん?!」

ミズも走り出す。


3人が走って学校へ向かう姿を見ていた人物がいた。

その人物は左右に綺麗な白い翼を広げゆっくりそれを動かしながら宙に舞っていた。



「ごめんなさいシロナ…を試すような事をして…でもこれで必ず悪魔の正体を掴めると思います…」



そしてゆっくりと天使ラピアは地面に降りて行くのだったーー







「どーしたのリオ!?」


ショートヘアの可愛い顔をした女の子が私の視界に{ひょこ}っと現れる。


「何もないよミホ」


この子の名前は霧恵きりえミホ。

私と同じ中学1年生で勉強が得意な女の子だ。

ミホは真面目な性格で勉強ばっかりしてる優等生タイプの女の子だ。


両親が教師をしていたと言うのもありミホも教師を目指している。

逆に私は勉強は得意じゃなく…いつもミホに教えてもらっている。



「なんか元気無いように見えたけど熱でもあるんじゃない?」

そう言ってミホは私のデコに手を当てる



「ひゃっ!?」

ミホの手が冷たくて思わず声を出してしまう。


「ん〜?熱はなさそうだけどねぇ…」



「だから私は大丈夫だよ!」

そう言って{ニコッ}と笑ってみせる。



「ま、リオがそう言うんなら良いけどさ…」

そう言ってミホは自分の席に座る。


私とミホは同学年の中でも1番の仲良しだ。

ミホはクロネさんの様な人と気が合うと思ってたけど、何故か私達は仲が良い。



でも…だからこそ私の悩みはとても言えない…。




ガラララ


後ろの扉が開く。



「だぁー疲れたー」


「あんなに急がなくても間に合ってたのに!」


「だってしょうがないだろ!?時計5分進んでたの忘れてたんだから!本気で遅刻だと思ったんだよ!」


「シロくんもセリちゃんも早いんだもん…」


「お前達は朝から元気だな」


「ぬわっ!?カゲト!?いつの間に!?!」



どうやら2年生組みが到着したみたいだ。

小学生から中学生まで集めた教室だから普段から騒がしいのだが、やはりシロナが1番騒がしい



シロナなら私を救ってくれそうな気がしていた。変な夢の影響かもしれないけど、シロナならきっとーー







退屈な時間が終わり絶賛昼休み中だ。

俺はこの時間を利用してラピアとちゃんと話そうと思い教室を出ようとした。



「ねえ!シロナ…」


そんな俺を引き止める声が聞こえる。



「お?どうしたリオ?」


「ちょっと時間良い?」



今はラピアとの話し合いを優先したい所だが、リオは1度悪魔に負の感情を爆発させられた事がある…もしかしたらあの時聞けなかった話が聞けるかもしれない



「あぁ…良いぞ?どうした?」



そして俺達は静かな場所に移動する。



「ここならゆっくり話せるか?」



俺達は校舎の裏側へと移動した。

表側のグラウンドでは様々な声が行き交っているが、ここは静かだ。


俺達は適当に座った。



「ねぇ…シロナ?」


「ん?」



あの時と同じ様にリオは黙り込む。

もうあの悲劇は繰り返させない!俺は熱い想いを胸に燃やすのだったーー






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