第9話3度目の死

俺は今山の中で少女を抱きしめながら地面に座っていた。


この山の地面は水分を含んでいてぬかるんでいる。

おかげでパンツまでビチャビチャだ。


そうまでして地面に座っている理由と言うと

この抱きかかえてる少女が俺の腕の中で寝たからだ!


不意に、とは言え俺の言葉がキッカケでこの少女を泣かせてしまったから俺は一生懸命なだめていた。


そしたら余りにも可愛くて俺は抱っこしてしまったんだ!

いや、俺は決してロリコンじゃないぞ!


全ロリコンに殺されそうな状況の中、気付いたら少女が寝ていたんだ。

起こすのも悪いかな、と起きるのを待つ事にしたんだが立ちっぱなしはキツイので座る事にしたんだ。



今日は校長先生が用事で居なくて如月先生1人で分校を任せられていた。

なので、今日は3時には授業が終わる筈だ。


空を見て日が落ちる光景を見て今の時刻を予想する…多分4時は過ぎてるだろう…

完全にサボタージュな訳だ!くろねぇに怒られる!!



「う、う〜〜ん」


どうやらラピアが目を覚ましたみたいだ。



「し、シロナ!?」

そう驚き{バサッ}と翼を広げ宙に舞う


「わ、私は何でシロナの腕の中で寝てたのですか!?」

{あわわ}と空中で動き回るラピア



「疲れてたんだろ」

そう言うも



「そう言う事じゃないです!」

と顔を真っ赤にし声を張り上げる。



「とりあえず俺学校戻んないといけないんだけどラピアも来るよな?」


「それは駄目です!」



俺は立ち上がりながら

「え?なんで?」

と質問する



「私の姿は人間ではシロナにしか見えません…ですが、悪魔からは丸見えなんです!もし私とシロナが行動を共にしてたらどうなると思います?」



「そりゃあ…俺が狙われるよな…」


「そうですよ!危険なんです!なので私は大胆な動きは出来ないんです。」



「でもさ?それならラピアにだって悪魔を見る事が出来るんじゃないか?」


「いいえ…完全に人間に憑依した悪魔を見破る事は出来ません…」



悪魔からはラピアを見る事が出来てラピアから悪魔を見る事は出来ない…か。

それは完全に不利だな。

もしラピアの存在を知られたら悪魔が本格的に動きこの村…奇才きさい村が滅びる可能性もある。

そんなの絶対駄目だ!



「いいか?ラピア…ラピアの存在を悪魔に知られる…これだけは絶対に避けないといけない。」


「分かってます」


「それじゃ、学校行くわ」

そう言い元来た道を戻ろうと歩き出した時に



「待ってください!」

と、ラピアに引き止められる


「ん?」


「これを…」

そう言いラピアは自分の翼から1枚羽を取る


その羽が輝き出し俺の元へと舞う。



「その羽は言わば私の分身…その羽から景色を見る事もできるしシロナに話しかける事も可能です」



そう説明をした後、ラピアの羽が俺の体の中に入って行く。



「もし何かあってもシロナの想いがあれば



こうして俺は学校へ向かった。









学校に着くと当然誰も居なかった。

校舎は鍵が閉まってるかな?と思ったが開いており校舎に入る事にした。


下駄箱を見るとミズとセリナと如月先生の靴が残っていた。

もしかして俺が戻って来るの待ってたのかな?


そう思い俺は少し早足で教室へと向かう。



ガラララ


教室の扉を開けるとセリナと如月先生が倒れていた。

2人の頭は何かに殴られたのか潰れていた。


すぐ側には血のついた椅子が転がっていた。

…って事は誰かがこの椅子で2人を…


その瞬間



バタッ



教室の前…黒板のある方から何かが落ちる音がした。

俺はすぐにそこを見る



「お前…なんで…」


そこには血で真っ赤に染まったカゲトがいてカゲトの足元には刃物で首を裂かれたミズが倒れていた。



「お前が…これを!?」



カゲトは何も言わず首から{ドクドク}と血を流すミズを見ていた。



「おい!なんとか言えよカゲト!!!」


その瞬間カゲトがこちらを見る。

カゲトは大量の血を浴びたのか体も顔も血で染まっていた。



「シロナ…」

カゲトが呟く


「なんで3人を殺した?」



「ち、違うんだシロナ…俺は…」



この感じ知っている…そうかカゲトの奴、悪魔に付け込まれたのか!



ぴちゃ、ぴちゃ


ミズの血の上を歩き俺へと近付いてくるカゲト



「な、なあ?シロナ…聞いてくれよ…」



この状況リオの時と似ている。

カゲトが悪魔に付け込まれたのは間違いない…だが、この様子だと多分俺は…



「俺は誰も居ない筈だと思ってここに来たんだ…そしたら2人が死んでいて…」



何を言ってるのか分からない。

今はこの状況を何とかするしかない…でもどうする?

リオの時と似ているが決定的に違う事がある…それは冷静に頭が動いてるって事だ。



「俺はお前達を助けようとした…なのに…なんでこんな事に!!?」



どんどん俺とカゲトの距離が縮まっていく。



「シロナも俺を怖がるのか?シロナも俺の敵なのか?…シロナアアァァァァ!!!」



くっ!やばい!


俺は足元に転がった椅子を掴みカゲトに投げつける


ドカァ!


そのまますぐに廊下へ出る



「シロナお前ええぇぇぇ!!!」



走って下駄箱に向かう。

カゲトも冷静さを失い俺を追いかけてくる。


…大丈夫だ。このまま外に逃げれる!それほどの距離はあいてる!


その時だった…



バキィィ




「なっ!?嘘だろ!?」



ドカァ



脆い廊下を走ったせいで床が抜け俺はそのまま体制を崩し倒れる



「シロナ…お前も…お前もおおおおお!!!」



しまった!

気付いたら目の前にカゲトがいた。

カゲトは手に持った刃物を振り上げる



グサッ!




「あああああぁぁぁぁぁ!!!」



カゲトが振り下ろした刃物は俺の心臓部分に突き刺さる。



また俺は何も出来ないまま…死ぬのか?

セリナが殺され…ミズが殺され…如月先生までも殺されて!


悪魔の仕業だって事も分かってる!

これから悪魔を見つけようって時だったのに!


くそっ!くそくそ!

俺はやっぱり無力だ。




それ…でも!

今は力がある!

俺の想いが奇跡を起こす!




悪魔を許さない…

仲間を殺人犯にさせる悪魔を絶対に許さない!

もう1度戻る!そして必ず…必ず悪魔を見つけ出す!!!






…………………






「ん、う〜ん」



目が覚めたら自分の部屋にいた―――

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