第8話悪魔の存在

「私達天使は天界に住んでいます。天使は天界そらから人間達を見ていて時にはサポートなんかもします」


「サポート…?」


「貴方達人間の言葉を使うならば恋のキューピッド…でしょうか?恋のお手伝いをしたり時には事故などから守ったりと天使は人間達を裏から支えてました」


「でもそれとは別にもう1つ使命があります。それは退です」


「悪魔ぁ?!」


「そうです。悪魔は我々天使と違い人間達に不幸を撒き散らします。例えばさせたり…」


…?」


「人間はとても脆い存在です。人間の心にはプラスの感情とマイナスの感情があります」


「それは分かる…」


「悪魔はそのマイナスの感情を爆発させるのです。例えば春風リオの場合ですが…」


「なっ!?リオは負の感情を爆発させられてたって事か?!」


「はい、そうです。詳しい事は分かりませんが何か心に負担があったのでしょう…そこを悪魔に付け込まれました」



先程思い出した記憶を遡る。

すると確かに俺は俺を殺すリオを見て悪魔に取り憑かれてると表現した。

それはその時思った表現に過ぎないのだが


確かにそれほどまでにリオは悲しそうな顔して俺を殺していたんだ。

だとしたら…



「その悪魔ってどこにいるんだ?」


「話が早くて助かります。悪魔はします。そしてその悪魔は貴方の近くに居ると言っても過言ではありません」



人に憑依…?

俺の近くに居る…?


つまり悪魔は俺の知り合いの誰かに憑依していてリオの負の感情を爆発させたって訳か!?



「って事は何だよ…俺の親や!くろねぇや!クラスの皆や村人の皆の中に悪魔が居てそいつを捕まえないといけないって事か?」


「はい、じゃないとまた事件が起きます」



「ふざけんなよ!皆…皆良い人なんだよ!!!その中の誰かを疑わないといけないなんて俺には出来ない!」


「だったらまた何か起きても良いのですか?」


「それは…」


俺は何も言い返せなかった。

リオの事を思い出す…もう死んでるおじさんを包丁でめった刺しにしていた。

それだけじゃない…最初俺を殺した奴も悪魔が負の感情を爆発させた誰かって事なんだよな?

あれもリオだったのか…?いや、それはない筈だ。

あの時のリオは既に家に帰っていた…待ち伏せしてたんなら話は別だけど……。


とにかく悪魔を野放しにしていてはいけないのは明白だ。

なら…俺は…



「悪魔を探すよ」


「そう言ってくれると信じてました」



「でもその前に1つ疑問がある」


「なんですか?」


「1日がやり直しされてる理由だ」


「あぁ…それですか。それはシロナの想いが強かったからですよ」


「俺の想い…?」


「はい、天使といえ時間操作なんて高等な術そんな簡単には出来ません。なので私以外の…そうシロナの力を借りないといけないんです」


「俺の力?」


「シロナは最初に私の羽を所持したまま強く願いましたよね?こうなる前に戻りたい、何があったのか知りたい…と。その想いが私の魔力が籠った羽に共鳴したのです。」



「ふむ…なるほどーー」

よく分からん!

つまり俺が戻りたいと強く願ったから摩訶不思議な能力で戻っちゃったって事か…?


そう言う風に解釈しとこ…



「2回目の時も春風リオを救いたいと想う力が時間移動を起こしたのですよ?」


「そうだ!リオだ!」


「はて?」

天使は頭を傾げる



「その悪魔はリオに接触した訳だろ?ならまたリオに接触する可能性が高いって事だよな?」



その俺の言葉を聞き{う〜ん}と何やら考え事を始める天使。

…に、しても天使か…改めて考えると凄い体験をしてるよな…

それとなく言ってた神様って俺達の想像するあの神様だよな?…神様も存在するって事か…



「良いですか?シロナ」


「お、ん?」

考え事をしていた時にいきなり話しかけられ少し俺は驚く



「時はとても不安定な物で何かがキッカケで本来通る筈だった道筋から大きく外れる事があります。」


「聞いた事あるな…並行世界パラレルワールドだっけ?」


「そうです。事実、シロナの思い出した記憶を思い返してください。全く同じ日を体験してるのに全く違う1日になってます。」



「言われてみればそうだ。最初殺された時とリオに殺された時、朝は似てるが違う結末を迎えてる…これがパラレルワールドか…」


「そんな不安定な時を過ごしてるのですから悪魔が春風リオに接触しない事も充分にありえるんです」


「ならリオだけマークすれば良いって訳じゃないんだな…」


「悪魔が誰か分からない以上誰をマークすれば良いのかもどんな対策をすれば良いのかも分かりません」



「くそっ!そんなんじゃ全く分からないじゃないか!」


そう悲観したが1つの疑問が頭に浮かんだ。


「そう言えばラピア」


「はい、なんですか?」


「ラピアは最初俺が殺された時にはもうここに居たんだよな?」


「はい、居ましたよ」


「だったら俺を殺した犯人を見てたりしないか?」


「そ、それは…」

そう言ってバツの悪そうな顔をするラピア


「なんだよ?」

俺は気になって問いかけてみた。


「私はその時……ました」

もごもごと小声になりなんて言ったのか聞き取れない


「なんて?」


「ですからー!私はその時寝てたんです!!!」

恥ずかしいのか顔を真っ赤にし開き直ったように大声で言うラピア



「は、はぁ?寝てた?なんだよそれ!」


「あの時の私はこの場所に不時着しちゃって身を休めてたんです!」


「不時着ぅ〜?って事はもしかしてこの辺り半径3mぐらい何もないのはそのせいなのか?」



「そうですが何か!?」

{むー}と顔を真っ赤にし完全に開き直るラピア


まあ過ぎた事はしょうがない…



「でも寝てたってあの時どこにも居なかったけどな…」



「空で寝てましたからね!」



なるほど…あの時羽を拾った時、上空にラピアは居た訳か。

…で、寝てたから俺とセリナを殺した犯人を見てないと……この天使ーー



「ーー使えないな」

思わず声に出してしまった。



「あ!あー!今使えないって言った!それ1番言っちゃいけないのに使えないって言った!」


少し涙目になるラピア


流石に言い過ぎたと反省し俺はラピアの元へ行き


「ごめんね」

と、頭を撫でながら言った



「ぐすん…ラピア使えない子ですか?」

手で涙を拭きながらラピアは言ってくる



「そんな事ないよ。ラピアは凄い子だよ〜」


こうしてると子供みたいなラピアを俺は一生懸命なだめるのだった

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