第6話謎の声
眩しいほどの光が辺りを包む。
かろうじて目を細めて光の中を見る。
逆光になっていてハッキリとは見えないが光の中に何かが居た。
それは人型をしていたが人ではない。
何故なら背中から羽のようなものが広がっていたからだ。
「私の声を聞ける者よ…また死んでしまったのですね」
俺に問いかけてるのか?
「……」
俺は声が出せなかった。
出そうと思っても喋り方を忘れたみたいに声が出ない。
「今は貴方に賭けるしかありません。どうか真実を暴いてください。」
そうして辺り一面を眩いぐらいの光が包む。
チュンチュンチュン
何か夢を見ていた気がする。
だが、どんな夢を見ていたのか全く思い出せなかった。
トントントン
俺は下に降りていく。
「あら、今日は早いのねシロナ」
階段を降りると制服を着た女性に会う
「くろねぇ…もう行くの?」
この人は俺の実姉で名前を
そんで俺は皆城シロナって名前だ。
「今日も先生達の手伝いとかあるのよ」
そう言いながら玄関で靴を履く
「シロナ遅刻したらブツから」
そう言い残しくろねぇは外へと出て行った。
ブツかぁ…そりゃ堪んねえや。
俺はバタバタと支度を始めた。
「んじゃ行ってきます」
そう言って家から飛び出す。
玄関から出て少し進むと2人の少女がいた。
「あ、シロくんおはよ〜」
このどこか抜けたような顔をした少女の名前は
「おう!ミズもセリナもおはよう!」
そんでこっちの少女は
去年中1の時にセリナから告られて俺はセリナと付き合う事にした。
「じゃ行こっか〜」
こうして俺達は学校へと向かっていった。
基本的にこの道は砂利道で林の中を進む事になる。
総勢5000人にも満たさない小さな村なので舗装なんかされていない。
そんな道を少し歩くと分かれ道に辿り着く。
このまま道なりに真っ直ぐ行けば学校へ…この分かれ道を右側に登って行けばセリナの家へ辿り着く。
セリナと付き合うまではこの分かれ道でセリナと待ち合わせをしていたのだが、付き合い出してからセリナはわざわざ俺の家まで来てくれていた。
「んーー」
と歩きながら伸びをするセリナ
「気持ち良さそうだな」
「そりゃあね。こんだけ天気いいんだもん」
俺達はゆっくりとこの自然を楽しみながら学校へと向かった。
学校へ着くと青色のジャージを着た女性が立っていた。
「皆城君、弓華さん、由良さん、おはようございます!」
「如月先生おはようございます!」
この人は
俺たちの担任だ。
元々本校の方で教師をしていたらしいのだが分校が出来ると聞いてこちらに移ってくれた人だ。
授業は学年バラバラなのにテキパキと教え更には28歳と言う若さから皆のお姉さん的な立場にあり生徒皆から慕われている。
「あ、如月先生」
如月先生の横を通り校舎へと入ろうとした時ミズが先生を呼ぶ。
「弓華さんどうしました?」
「今日の昼休み時間良いですか?」
「良いですよ」
「ありがとうございます!」
そうして俺達は校舎へと入る。
そう言えばミズは最近如月先生に何か相談をしているみたいだ。
どんな内容の相談かは分からないが俺達に言いにくい事もあるんだろうな。
ギィ、ギィ
相変わらず危ない廊下だな…いつ抜けてもおかしくないぞ…なんて思いながら俺は教室に向かう。
ガラララ
教室に入った瞬間
「シロナーー!」
と聞き覚えのある声が響く。
そして{バタバタ}と俺に近付く人物が1人
「リオ、危ないから走るな!」
その人物の名は
ポニーテールの似合う俺の1つ下の女の子で昔から仲良くしてる奴だ。
「それよりも聞いて!」
「ん?」
「ジャーーン!」
そう言ってリオは可愛らしいウサギのキーホルダーを見せてくる
ほんとリオはウサギ好きだよな…
「お、可愛いな!マオさんとお揃いか?」
「そうなの!昨日お母さんが買ってきてくれたんだぁ〜」
マオさんとはリオのお母さんの事だ。
リオが前髪を留めてるウサギの髪留めもポニーテールもマオさんの影響だ。
色々あってリオはマオさんの事が大好きで、まあマザコンってやつだろうか…
でもこうして嬉しそうに話されるとこちらも嬉しい気分になる。
「シロナ何ニヤニヤしてるの?きもっ」
「は?べ、別にニヤニヤしてないからな!」
俺はそそくさと自分の席に向かった。
席に着くと隣を見る…隣は来た様子がない…時間も時間だしカゲトの奴遅刻か?
この教室には全部で42人の生徒が居る。
その内の33人が小学生組で俺達中学生組は9人しか居ない。
中1組と俺達中2組は4人居て中3はくろねぇ1人しかいない。
中2組は俺、ミズ、セリナ…そして
基本的に席は自由なんだが、それぞれ学年毎に分かれている。
で、俺の隣の席にはカゲトが居るんだが…今日は遅刻かな?
キーンコーンカーンコーン
結局カゲトは来ないまま退屈な時間が始まった。
※
やっと昼休みの時間になった。
俺達はご飯を食べ終え談笑していた。
「あ、私そろそろ行くね!」
そう言ってミズが席を立つ。
そう言えば朝、如月先生に時間あるか聞いてたな…
ガラララ
ミズがそそくさと教室を出て行く。
周りを見渡せば教室には俺とセリナと他2人しか居なかった。
小学生組は皆グラウンドに行ったみたいだな。
「ーに、してもカゲトどうしたのかな?」
セリナが聞いてきた。
「カゲトなぁー如月先生も特に何も言ってなかったよな?」
「病気したのかな?」
そんな会話に割って入ってくる人物がいた。
「カゲト君、連絡入れてないんだってよ。だから先生も分からないみたい」
ノートに何か書きながらくろねぇが言った。
昼休みも勉強か…やるなぁ。
「って事はサボり?」
セリナが聞いてきた
「さあ?どうだろうな?でもカゲトたまーにやらかすからなサボり」
「ただのサボりなら別に良いんだけどさっ」
「ま、大丈夫だろ。もし明日も来なかったら家行ってみようぜ?」
「そだね!」
2人きりとはちょっと違うかもしれないけど、こうして2人になるのは少し照れくさいものだ。
俺達は付き合ってはいるものの彼氏彼女の様な事をした事はなかった。
一緒に街へデートとか…キスもした事ないし手を繋いだ事も……無かったかな?
なんて言うか良い意味で友達の様に接していて気付いたらこんな感じになってたっけ?
やっぱりデートとかした方が良いのかな?
そんな事を思っていた時
「皆城シロナ」
誰かの声が聞こえてきた。
俺はすぐに席を立つ
「シロナ?どうしたの?」
急に立ち上がったもんだからセリナが心配そうにこちらを見てくる。
「あ、ごめん。ちょっとトイレに行ってくる!」
そう行って俺は教室を出て外へと向かった。
謎の声の主を探すためにーーー
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