第3話デジャブ

チュンチュンチュンチュン


朝…鳥達の合唱で目がさめる。


ふと時計を見る



「やっべ、ミズとセリナが待ってる!」


バタバタと着替えて俺は1階に降りる



「あれ?くろねぇは?」


「もう先行ったわよ。それよりシロナ2人が待ってるわよ」


「分かってる分かってる」


そう言ってパンを口に放り込みながら洗面所へと向かう。

手を水で濡らして髪型を整えていく…整え終わる頃にはパンを食べ終わってるから歯磨きへと移動する。


そして顔を洗い{バチン}と両手で頬を叩き

「今日もがんばるか!」

と、気合いを入れる。



「行ってきまーす!」



そうして玄関を飛び出すとミズとセリナが待っていた。



「おっはよー」

と、朝一番の挨拶をする


「シロくんおはよ」


「おはようシロナ」



この髪が肩まで伸びた女の子が弓華ゆみはなミズだ。


うちから少し登った場所に家があって、ここ奇才村では充分お隣さんになる距離だ。


お隣さんだから昔からの付き合いで所謂幼馴染なんだ。

親同士も仲が良くミズとは友達以上の関係だ。



そんでミズの隣にいる腰まで伸びた綺麗な黒髪で巨乳が特徴的な女の子は由良ゆらセリナ。


俺の彼女だ。

セリナは元々ショートカットの似合う女の子だったのだが、いつの間にか髪を伸ばし今では黒髪ロングを特徴にしている。



「それでね今度の休み遊びに行かないかな?って。……シロくん聞いてる?」


「聞いてるよ!今度の休み街に行くんだろ?良いぜカゲトにリベンジしないといけないからな!」



宝遊ほうゆうカゲト。

家の場所的に一緒に登下校出来ないが幼馴染の1人だ。


この前街に遊びに行った時にゲーセンの対戦ゲームでこっぴどくやられたんだ。

だから次こそはリベンジしないと〜〜



「ん〜今日はなんか走りたい気分だから走らない?」

と、提案してみる。


「そうだねー私もなんか走りたいかも…」

基本的に汗をかくのが嫌なセリナが珍しく同意する



「え〜〜!?私は嫌だよ?」

反転、ミズは拒否する



「じゃ、ミズはゆっくりくるんだな!行くぞセリナ!」



「え?えっ!?ちょっと待ってよ!」

いきなり走り出したシロナを追う為にセリナも走り出す。



「も〜〜2人とも待ってよー!」

結局2人を追う為にミズも走り出すのだった。




基本的にうちから真っ直ぐ進めば俺達の通う分校に行き着く。

その道は田んぼと田んぼの間の道だったり砂利道だったり山道だったりと色んな道を通る。


その途中田んぼ仕事をしている人や街へ行く人達とすれ違う。

で、この田んぼには……ビンゴ!新谷木にやきのおばちゃんがいる!


俺は走りながら軽く会釈をし先を急いでいた。

そしたらやはりと言った感じで



「新谷木のおばちゃんおはよーう!」

セリナが…


そしてその少し後に


「あ、新谷木のおばちゃん!おはようございます!」

と、ミズが新谷木のおばちゃんに挨拶をしていた。


やはり二人共おばちゃんに挨拶をしたもんでスピードが遅くなったな…そこが狙い目だ!


俺は更にスピードを上げる。



だが、何か変な気がした。



あれ?…なんだろこの感じ…



朝、走って登校するって事はあった。

でも…なんか…こんなにもを感じるのはオカシイ


前に一度有ったような感覚…デジャブってやつか?

に、してはハッキリと既視感がある。



いや、ただの気のせいだな。


そうこう考えてたら分校の入り口に着いた。



「っっしゃあ!1番だぜ!」


と、1番を噛み締めてると



「先に走り出したんだから当然でしょ!」

と、後ろからセリナの声が聞こえる。



「はぁ…はぁ…」

と息を整える姿はどこかエロさを感じた。


そして少し経つと遅れてミズも到着した。

相変わらず体力の消費を知らない奴だな


「ほんとミズは体力オーー」

バケだな、と言おうとしたがミズが体力オバケと言われるのを嫌がってたのを思い出す。


「ーーカシイな。でもそこがミズの尊敬出来るところだ!」

と言いなおす。



「えっ!?い、いきなり何を言い出すのかな?」

と、顔を真っ赤にし


「シロくんのバカー!」

と言い残し校舎へ入っていった。


「今のはシロナが悪い!バカ!」

と、セリナも何故か怒り口調で校舎へと向かう。



俺なんか変な事言ったっけ?と頭に?を浮かべてたら肩をポンと叩かれ


「結局最初に来た奴がドベなわけね」



「カゲト居たのかよ!」

そう言って俺も校舎へと入っていく。


そして下駄箱で靴と上履きを交換していたらやはりを感じた。


この光景も見た事ある気がする…。


そう思いながらも廊下を進み教室へと進んでいた。


何故だろう…この後の展開が分かる気がする。

この後教室に入るとくろねぇが俺の所に来るんだ。



ガラガラ

扉をスライドさせ教室に入る



「あ、シロ!」


やはりだ。

さっき予想した通りくろねぇがやってきた。


「ミズちゃん様子おかしいけどアンタ何かしたんでしょ!?」


うん、やっぱり見覚えある。

デジャブって言うのにはあまりに見覚えが有り過ぎる。


まるで…そうまるで1感覚だ。



「ちょっとシロ!聞いてるの?」


教室に入り{ぼ〜}と立ち尽くす俺にくろねぇが話しかける。



「あ、ごめん。大丈夫!ミズの事は大丈夫だから」


そう言って俺は自分の席へと座る。


今はミズの事も気になるが、やはりこのの正体が気になる。

デジャブなんかじゃない…みたいだ。


そんな事現実には有りえない。

でも…そうだな…クラスの皆を見ると誰かと誰かが話していて、その光景もし女子の髪飾りとか服装なんかも見覚えがある。


こんな事ってあるのか?




キーンコーンカーンコーン


チャイムが鳴り響く。

これから退屈な時間が始まるのだった。










退屈な授業が終わり給食の時間になる。

俺達はせっせと食べ終えて昼休みを楽しもうとしていた。



「シロナ!今日は外出るぞ!」

カゲトが息巻いていた。


「だったら鬼ごしかないな…」

俺はカゲトを見ながらそう呟く。


きっと今、俺とカゲトの間には火花が散ってるはずだぜ。

何故ならこの前の鬼ごの時に俺達は壮絶な戦いを繰り返したからだ。


最初は俺がカゲトを集中的に狙っていてカゲトもたまたまが続いただけだろうと思ってたらしいんだが、それが故意的に狙ってたと分かった瞬間俺達のバトルは始まった。


ミズもセリナもアウトオブ眼中って感じでタッチしてはタッチされ、タッチしてはタッチされ…逃げてるのか追ってるのかさえ分からなくなっていた。


そんな激しい戦いの末勝利したのはカゲトだった。

最後あともうちょっとと言う所で昼休みが終わったのだ。



今の俺はリベンジに燃える虎だ。

目の中に炎を灯しいざ戦場グラウンドへ赴こうとしていた時だった。


俺の目に1人の女子が映る。

その子の名前は春風はるかぜリオ。

ポニーテールをし前髪にはウサギの髪留めをした1つ下の女の子だ。


ウチのクラスは皆元気っ子で昼休みは基本的にグラウンドを駆け回ってる奴らばかりだ。

リオも良く外で遊んでるイメージがあったのだが、今日は1人席にぽつんと座っていた。


リオは明るい女の子で、誰とでもすぐ仲良くなる。

そんなリオだからこそ1人で寂しそうに席に座っていたのが気になった。


そりゃあ人間だから気分が悪い日とかあるのかもしれない。

でもどこか悲しそうに座るリオを放ってはおけなかった。



「結局私とミズは見てるだけなのよね…」

「ミズは走るの苦手だからそれでも良いよ〜」

「俺は龍だ…虎を狩る龍だ!」


なんて会話をしながら教室を出て行く皆に


「わるぃ!先行っててくれ!」

と一言言い俺はリオの元へ向かった。




リオの前に移動した。

だが、リオは下を向いて机を見続けていて俺の気配に気付く様子もなかった。


あの元気が取り柄のリオのこんな一面初めて見たかも…。



俺は下を向くリオの視界に入る為、その場にしゃがりこみリオの席の机の上で手を組みそこに自分の顎を置いた。


それでもリオは{ぴくり}ともせず、まるで抜け殻の様になっていた。

何か色々考え事をしているんだろうと分かってはいるが俺は話しかける事にした。



「おーい、リオー!」


「へっ!?」

俺の声に驚いたのか変な声を出し驚くリオ



「い、いつの間に居たのよ!?」


「ずっとお前の事見てたよ」


「ば、バカ!キモい事言わないで!」



ほんとこいつは年上に対する敬意がなってないな。

タメ口だぞタメ口!ここいらで先輩の威厳を見せとくか



「リオ…俺は中2だ。そんでお前は中1だ…なのにタメ口だと?」


と、言ってみる。


「シロナの事は先輩とは思ってないから!」

と、即答され少し悲しくなる。



「にゃろ〜〜 ならばお前に決闘を申し込む!」


「決闘?」


「鬼ご勝負だあああああああ!」

と言いながら俺は立ち上がる。



「パス。今そんな気分じゃないの。」


うぐっ!こいつまたもや即答だと!?

だがしかぁーし!


「ならば不戦勝で俺の勝ちか…。よし!今日からお前は俺に敬語で話せ!」


と、リオを焚きつける。

リオは何だかんだ負けず嫌いな所がある…ならば必ず乗って来るはずだ!



「は、はぁ?不戦勝?そんなの無いから!良いわよすぐにシロナに敗北を教えてあげる!」


そしてリオも立ち上がる。


こうして俺達は戦場グラウンドへと向かうのだった。




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