第65話失う

「マジか?マジか?」


仮眠室で喜多島春男と太郎はオセロをしていた。


「やった!初めて勝った!」


春男は雄叫びを上げた。


「うーん…。」


太郎は難しい顔をして春男の顔面にオナラをした。


「クッセ!クッセ!お前、健康診断受けたか?屁が臭いと体が悪いらしいぞ。」


「春男ちゃんに負けるなんて恥だよな。」


「ふざけんなよ!俺も結婚してリニューアルされてんだよ!」


太郎は、醒めた瞳で春男を見ている。


「緑ちゃん、元気?」


「おう!バッチリ双子の母親だぜ。」


「マジで春男ちゃんに似てなくて良かったよね。」







「てめえ!」


「相変わらず元気ですね。」


梓が入って来るなり春男に言った。


「おう!あずあず!クッセ!またオナラしたな!」


太郎は、オセロを片付けた。


「殺人?」


「うん。」


太郎は、梓に背を向けて聞いた。



「うーん、困ったね。」


「お前の相談から上がってきた殺人だろ。なんとかしろよ。」


春男は、太郎に言った。



「今回の事件には共通点があると思います。オレオレ詐欺、拷問、殺害と。」


梓は、太郎に説明した。


「うーん、何か、俺は、今回は待機って感じであずあずと春男ちゃんで何とか解決してよ。」


「お前、大丈夫か?」


春男は、本気で心配している。


「俺は、相談窓口行ってくる。」


そう言って太郎は、仮眠室から出て行ってしまった。


「マジか?大丈夫?あいつ?」


「最近、様子がおかしいですよ。世界平和目指してるみたいな発言するし。」


「あいつが?それはヤバイな病んでるぜ。まぁ、今までが鋭い奴だったからな。休暇も必要だな。」


「そうですね…。」


梓は、溜め息をついた。


「うっし!鑑識の調べだと連続殺人としてみてる。リンチだな。だから複数犯の可能性が高い。」


「同じ考えですね。被害者の携帯電話からワンクリック募金なるアプリが見つかっています。」


「ワンクリック募金?何だそりゃ?」




「ワンクリック募金は、ボタンを押すだけで銀行口座から引き落としがかかるシステムになってます。」


「すげーな。」


梓は、春男を見てまた溜め息をついた。


「二人の被害者はワンクリック募金をしてたという共通点か…。じゃあ、犯人はそのアプリを作った奴じゃないのか?」


「鋭いですね。これから、任意で引っ張るつもりです。」



太郎ばかりに頼ってはいけないと梓は思っていた。


ずっと今まで事件を連続で解決してきたのだから脳を休めるのは大切だ。

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