第35話戸惑う
同じような事件が立て続けに起こった。
まるで連鎖反応のように…。
「飛び降りに溺死。もう、三件目だ。」
春男は、現場でため息をついた。
梓には、引っかかる事があり、定石通りに、自殺した人間が消えて得をする人物に当たったが、全て外れであった。得をするどころか、損な役回りを受け継いで皆、ノイローゼ気味になっていた。
「やっぱり、人間ってどこかで繋がってるんですね。」
溺死体の前で手を合わせながら絢斗が言った。
「繋がり?」
「こんな事件が、続くと同じ事してる人間は、罪の意識に目覚めてドボンですわ。」
確かにと梓は、思った。
「あ、噂ですけど、木村さん何か探ってるみたいで潜ってるらしいですよ。裏に。」
「裏?」
「チラッと本庁の同僚から聞いたんすよ。」
「裏って…。」
「裏世界ですよ。闇って言っても良いかな。そないな異世界に何か手掛かりでも探して迷い混んで戻れなくなったんとちゃいます。」
「何かって?」
「奥さん殺した真犯人ですよ。」
え?だってそれは…。
「最近になって、渡部勉が、供述をひっくり返したんですわ。まぁ、アリバイがあったんすよ。」
「アリバイ?」
「渡部は、その日、職場の連中と飲んでたみたいで、まぁ、いわゆる合コンすね。それに顔を出してたみたいで犯行は不可能なんすよ。」
確かに、その合コンでわたしは、勉と出会って付き合うようになったのだ。
「まぁ、でも、他の事件は立証されてるんで死刑は確定ですけどね。」
「真犯人って?」
「さぁ?そこまでは。でも、あの木村太郎が命懸けなのは確かですわ。」
梓は、何故か背中に冷たいものを感じた。
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