第21話ブリーダー
「犬が殺されてる?」
「はい。今朝、駅の改札口前に5匹の犬の死骸が見つかりました。」
仮眠室で、野球ゲームをしている太郎に梓は報告した。
「ふーん、で、犬の死骸は5匹?」
「はい。何か気になりますか?」
太郎は、無精髭を触りながら
「5年前にも同じように5匹の犬が駅の改札口に死骸になって放置されてたんだよね。」
「え?」
「まぁ、当時は少しの関心と愛護団体がデモ行進して終わったんだけどね。」
「犬…。」
梓は、犯人像を想像してみたが思い付かなかった。
それから、1週間ほどして事件は起こった。
近所に、野良犬が徘徊しているとの連絡が入り保健所職員が向かったところ、よたよた歩きのコーギーが公園の砂場にいた。
職員が近くと人馴れしているのか愛嬌良く舌を出して近寄って来た。
職員が、手を伸ばした瞬間、犬自体が爆発して職員も巻き込まれて重症を負った。
「どう思います?」
梓は、ルナとレナに顔中を舐められている太郎に聞いた。
「うーん、分かんないな。でも、犬を使った事件だよね。」
「許せませんよね?愛犬家の木村さんとしては。」
「いや、別に僕は、愛犬家じゃないけど。」
「え?」
太郎は、ルナとレナに向かってオナラをした。
レナが、喜んで太郎の足首を噛んだ。
それから、同様の手口に似た事件が起こり、太郎を突っつくように署長直々に梓に命令が下った。
「ふーん、困ったね。ペナントレースも終盤でもう少しで」
「野球ゲームの話は無視します。」
梓は、連日、野球ゲームに没頭してる太郎の丸まった背中に言った。
「事件、ちゃんと洗い直しましょう。」
「署長、自分で解決すれば良いのにね。」
「セーブデータ消しますよ!」
「それは、困る。」
「じゃあ、仕事して下さい。」
「犬を使った事件が多発しています。」
「うーん、犬の体内に時限爆弾でも仕掛けてるの?」
「はい。」
「じゃあ、犯人は、リモート?リモコンみたいので遠隔操作して爆発させてるんじゃないかな。」
「その線は可能性はありますけど、実際は現場に居ないと難しいですよね。」
「お!頭良い!あずあず、ゲームして良い?」
「ダメです!」
「時限爆弾じゃなかったら地雷だね。」
「え?」
「だって、そうじゃない。遠隔操作が無理なら地雷だよ。」
「でも、犬の体内からは」
「地雷踏んで体内の時限爆弾をピッと連動させるように作れば良いじゃない。」
「なるほど!」
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