第14記憶の中で


透ちゃん、ずっと一緒だよ。


大好き。ありがとう、こんなわたしと居てくれて…。


「あなた、間宮薫さんを愛してますか?」


「いや、他の男に乗りかえる女なんて愛してない。殺せてせいせいしてる。俺が、病気だって知って逃げたかったんだろう。捨てたかったんだよ。」


「じゃあ、これは何ですか?」


梓は、取調室で仲丸透に間宮薫の日記帳を見せた。


「何だよ?それ。」


透ちゃんが、心の病を抱えながらずっと辛い仕事して、わたしの前では笑顔。とても辛い。わたしが透ちゃんを守る。仕事という重荷を取り払う。だって、透ちゃんは、わたしを助けてくれた。孤独から、涙から、寂しい夜から、1人で迎える朝から。ずっと一緒だよ。


「そんな事書いてない。」


「書いてありましたよ。あなたが破いて捨てた2枚目に文字紋がね。鉛筆でなぞって簡単に浮き上がるくらい間宮薫は、力強く書いたんです。あなたへの思いを。」


仲丸透は、渇いた唇を潤すように口を閉じた。



「これは、わたしの想像です。聞いて下さい。高林伸一に、間宮薫の父親は多額の借金をしていた。しかし、父親は、失踪。仕方なく高林は、間宮薫に借金の返済を求めさらに払い切れないと分かると体を求めて来た。しかし、間宮薫は、抵抗して台所にある包丁で高林から見を守るために振りかざしたが返り討ち遭い高林は、間宮薫を刺し殺してしまう。そこで、あなた、仲丸透が、部屋に入って来て高林と揉み合いになり高林を刺し殺してしまう。そこで、あなたは、間宮薫の名誉のために、自分が二人を殺したように見せかけた。日記帳を破ってストーカー殺人に見せかけるメモを書いた。」


「面白い。でも、そんな証拠はない。」


仲丸透は、無表情で呟いた。


梓は、おもむろに書類を机の上に置いた。


「これは、間宮薫さんの、生命保険です。間宮薫さんの、行為が正当防衛だとしても、過剰防衛になり生命保険が降りない可能性をあなたは、考えた。それでは、間宮薫さんの父親が抱えていた借金も返せなくなるとあなたは、思ったはずです。」


「全て憶測だな。」


「そうです。全て憶測です。ただ、聞いて欲しいと思って。生命保険の受け取り人は、仲丸透さんあなたです。」


それを聞いた仲丸透は、初めて表情を変えた。



「それでは、わたしの取り調べは以上です。」


梓は、取調室から去った。

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