第13殺害現場
梓は、仲丸透の態度に何か引っかかるものを感じて殺害現場に足を向けた。
大通りに面した2階建のアパート。1階には大家が住んでおり2階のワンルームが四部屋ある。
そのうちのC号室に間宮薫は、1人暮らしをしていた。
鑑識の捜査も終わり、警官2人が立っているだけだった。
部屋の中は、飾り気がなく清潔だった。
梓の違和感は、確信に変化した。
裏を取ると、間宮薫は、地元大手食品会社の事務を商業高校を卒業後に就職。9年間勤めていた。
勤務態度は、真面目で仕事も正解でてきぱきとこなす。
仲丸透と出会ったのは、間宮薫が、25歳、仲丸透は、26歳の時。
飲み会で、親しくなりすぐに付き合い始める。
付き合って2年になり結婚話も出ていた。
しかし、仲丸透は、対人恐怖症、適応障害の気があり、心療内科に通院歴があり将来を不安ししていて最近不和であった。
梓は、間宮薫の日記を見た。
仲丸透に出会ってからの彼女は変化した様子が伺えた。
洋服、ファッション雑誌、ダイエット、デートコース。
梓は、胸が痛んだ。
彼女は、彼に魔法をかけられた。
恋の魔法を。
信じられる絆を。
覚悟を。
「ルナ!元気になったねぇ。」
梓は、夜の散歩をルナとしていた。
太郎は、レナと自宅にいる。
「ん?良いよ。ルナは、あずあずをいつも待ってるみたい。」
太郎は、アニメを見ながら呟いた。
「面白いですか?」
「うん、何か、大人借り。何か、元気ない?もう、事件は解決したんでしょう?」
「何か、引っかかるんです。」
「じゃあ、ルナと散歩しながら考えたら。」
薄情な、飼い主だね、と不安そうな困り顔するルナの顔を梓は、撫でた。
「夜道は、レナが危ないって。」
太郎は、ジャージ姿でレナを抱っこして走って来た。
「あずあずが、気になってるんならもう1度仲丸透取り調べしてみたら?」
「良いですか?」
「えーっと、時間が過ぎても深みが増す。濃い時の愛しさが君を救ってくれる。大丈夫。いつも、俺は、お前のそばにいる。」
「え?」
「さっきのアニメのセリフ。くさいけど良いよね。」
梓は、夜空を見上げてそうですねと呟いた。
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