2 三月
約一週間が経った。
本日もパソコンの電源を入れ、スクリーンを眺める時間が始まる。充実した、無駄な時間である。明日がないという不安を一時的に散らしてくれる、近代の魔法と言えるだろう。
「……やばいな」
考えが卑屈になってきた。数ヶ月前までは、面接に対する意欲があったというのに。廃人まっしぐらの生活を
455:名無しさん@毎日がバケーション:2017/03/03(金) 23:42:11 ID:z0Switch
俺らで日本を変えるべく立ちあがるしかないな
一同に集まり、そして一揆を起こす
457:名無しさん@毎日がバケーション:2017/03/03(金) 23:51:10 ID:gc+FqpZR
>>455
なんか貧弱な集団だな
458:名無しさん@毎日がバケーション:2017/03/03(金) 23:59:47 ID:p680QYcj
おまいら今すぐ武器持ってこい。
ありったけの物でいい、まずは武装するんだ。
459:名無しさん@毎日がバケーション:2017/03/04(土) 00:17:18 ID:YLq7qVde
エアーガンを持ったニートたちが市民会館を占拠!
これが後世に語り継がれる、かの無職一揆である・・
460:名無しさん@毎日がバケーション:2017/03/04(土) 00:34:27 ID: ut0zv/8K
なにそれカッコイイ
人が犯罪を起こす心境とは、
履歴書を返してくれない企業がざらにあり、インスタント写真代や履歴書代だって馬鹿にならない出費になってゆく。仮に引っ越す資金もなく、家賃までも払えなくなる恐怖と、包丁の切っ先との睨めっこ――だとしたら今頃、私はどうなっていたのだろうか。
これは切実に、一揆を起こす集団が現れてもおかしくない時代になってきたか。現代から、急に江戸時代へ心がタイムスリップしたかのように。
捨て鉢に喜んだ者の勝ち。我が国の悪夢なのだ。幾度となく睡眠の果ての朝日ではなく、怠慢に魅せられただけの朝日を拝んだ私にはわかる。私には――
さらに一週間が経った。
再び職業安定所の更新が行われた金曜日、自転車を走らせる私の心で、『こそ』という希望の助詞と、『また』という悲観の副詞が一喜一憂を生み出していた。
入口の喫煙所でタバコを吹かしている連中を軽く睨みつけたあと、エントランスの掲示板に目を通している最中、おおよそ――保育士か歯科助手の募集を読み飛ばした辺りで、
「良い仕事は落ちてたかい?」
後方から生温かい声を聞いた。辺りには誰も居なかったが、音を立てず、気配すら感じさせない男の声である。
「いえ……」
誰であるか認識しながら、すぐには振り向かず、溜息をつくように言葉を返した。
「時代が悪すぎるよ兄さん」
「本当にそれだけでしょうか。てか、オジサンこの前の……」
「そうさ、時代のせい。なんでも良い、なにかよりどころでも決めとかないと、現代やってられんよ。世界の……いや、日本のこの怠慢をアンタが背負いこむこたぁないんだから」
やはりこないだこの男である。人生を達観したかのような言い草で、己の浅ましさを隠しているようだった。私と同じで求職活動中か。パーカーに色あせたジーパンなど、初対面の時と格好は似通っていた。
彼は知り合いではない。あと二言、三言を交わせば背を向け合う、それで終わらせたい間柄だった。他人に深入りして得した試しはないのだ。
「ふうん、そろそろ時間が……」
男が腕時計を気にする仕草を見せた。
「ここは居心地が良くないよ。じゃオレはおいとまするかね」
登った日に吸い寄せられるように、時が満ちてきた。はっと息をすると、周囲の背景が、光景に変わっていた。掲示板周辺は職を求める者で溢れ返っていたのだ。
「そうだ兄さん。ここには犯罪者になる一歩手前の人間が溢れている。団結もできないような者たちがね、へへっ」
「ち……違いますよ」
男は背を向けてからから笑うと、私の否定を聞かずに手を振った。男の声を耳にした求職者は何名も居ただろう。
そそくさと職業安定所を出ると、まだまだ冷える朝の風を感じた。
「チッ……あるわけない」
舌打ちの矛先なんてあったものではない。
あえて狙いを定めるなら、収穫もないまま、気に入らない中年に声をかけられた日常への不満と、子供の笑顔でも表したかのような頭上の晴天に向けてである。
相乗効果というのだろう。狭い道を横に並んでだらだら歩く高校生、スーパーでやたら耳につく主婦同士の会話、ピンからキリまでが憎らしく映ってしまう平成。
例え明治大正昭和に生まれたとしても、同様の気持ちを抱いていただろうに。
525:名無しさん@毎日がバケーション:2017/03/13(月) 23:54:11 ID:gc+FqpZR
ほんま限界や
俺の記事が明日載ってるかもしれんで
531:名無しさん@毎日がバケーション:2017/03/14(火) 12:10:18 ID:/KXJxnuK
36歳、死にます・・・
534:名無しさん@毎日がバケーション:2017/03/14(火) 15:54:50 ID:8ZU/Ydrs
明日面接だが、どーせ筆記で落ちるんだろうな
551:名無しさん@毎日がバケーション:2017/03/16(木) 10:58:27 ID:/IqsnGGQ
昼からバイト面接だ!今日も元気良く落ちるぞー!
どれだけの人間がこのスレッドを見ているのかはわからない。スレッドを覗くたび、皆の心持ちが良くない方向へ進んでいる気がしてならなかった。
「はあ……」
今日の夕飯は美味しくなかった。齢二五の体は、味覚までも変わってしまったのだ。カップ麺の大盛りを見ても、まったく唾液が出なくなったのは歳を取ったからか、あるいは働いていないからか。
――友人のたまの休みに付き合い、冗談を言い合う。
『ふふっ、俺は
『出た! いつもの!』
学生時代と変わらないやり取り。むしろこの時間だけ子供に戻れる有意義な時間だ。でも友人として、『私』に接してくれる彼らは『私』とは違う。職を持っているし、家庭を持っている者も居る。心の休息の合間に垣間見る自分との差がある。
不安だけだ、私を支えるのは
矛盾だけだ、私の心に残るのは不条理だけである。
588:名無しさん@毎日がバケーション:2017/03/19(日) 23:49:44 ID:/nh6mYE57
経験不問とかいっておきながら落とし、
なおかつその求人を再掲してるって一体なに。
600:名無しさん@毎日がバケーション:2017/03/21(火) 03:04:05 ID:/9sqCoySF
近所のコンビニの深夜バイトが出てたんだが
資格・大卒以上 短大卒も可
応募方法・電話連絡の後、履歴書送付
ってどういうことなの…世の中狂ってる…もう安楽死の施設でも作ってくれよ…
685:名無しさん@毎日がバケーション:2017/03/29(水) 10:10:39 ID:10Fuka3/
全員が就職なんて無理だ
一人が幸せになれば 一人が不幸になる
時代が変わり、そして取り残された者たち。
本当に私たちで変えられるものがあるのだろうか? 求職者にはどれだけの悪あがきが残されているのか? 答えは人による、か。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます