恋は完璧、好きは未完成
🌸
完璧な恋 1
僕の恋は完璧だ。
「秀人く〜ん!」
後ろから聞こえる女子の声に僕は足を止めた。
パタパタとスリッパの音が近付いてくる。
僕はゆっくりと振り返る。
視線を少し下に向けると髪を横に束ねた女の子が立っていた。
その手の中には綺麗にラッピングされたクッキーがあった。
ご丁寧にピンクのリボンまで付けられていた。
「なに?」
少しだるそうな声を出してしまった。
態度としては失礼だっただろう。
だが僕は学校が嫌いなのだ。
早くこの場から出ていきたいのだ。
それなのに、帰り際に呼び止められる。
今少し泣きたい気持ちだ。
本当には泣かないが。
「あの…これ、クッキング部で…作りすぎちゃって…よかったら…貰って…くれない?」
少し顔が赤い女の子はなぜか、分かりやすい言い訳を並べていた。
クッキング部で量を計りを使いながら作るものに、なぜ作りすぎたがあるのだろうか?
そして、あくまで僕の中でなのだが基本的に女子は甘いものが好きなのではないのか?
クッキング部に入るまでのお菓子好きなら、家に持って帰ったりとするのではないか?
正直、嘘をついてまで理由をつける必要性はないと思っている。
まぁ僕は女子ではないので女心など知りもしないが…
僕は彼女の手の中にあるクッキーを受け取った。
別にクッキーは好きなので断る理由がなかった。
そして、嘘をついてまで渡す理由を考えた時間や作ったことを考えると無下にはできなかった。
「ありがと。」
僕は小さくお礼を言って、僕はまた歩き出した。
振り返ってはいないので、本当かどうかは分からないが、パタパタと速いテンポの後に、数人の女子の甲高い声が聞こえてきた。
どんな話をしているのかは、盗み聞きをするようで気が引けた。
そのため、いつもより早足で靴箱へと向かった。
恋は完璧、好きは未完成 🌸 @Mokona
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