セミの鳴き声と夏の終わり


 セミの声がしだしたなぁ、もう夏かと思っていたのにいつのまにやらピークは過ぎたらしく、あんなに騒がしかった道が今はすっかり静かになっている。

 セミの鳴き声が夏の始まりを告げるなら、セミの死骸が夏の終わりを感じさせるのだろうかなどとぼんやり考えながら歩いていたのが懐かしい。夏真っ盛り、どうにも暑くて倒れてしまいそうな時でも転がっているセミはいたから、一概にそうとは言えないのだろうけれど。

 枯れ葉が風に揺られていると思って見れば蟻がセミの羽を運んでいるところだったりして、秋なんだか夏なんだか曖昧な季節に小さく息をついた。

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