そして彼女はこう言った


「おかえり」

「あ」

「あ、って何さ。早く帰ってきたらまずかった?」

「いや、まあ、そういうわけではないんだけど」

「ふうん」

 がさりとコンビニで買い物したビニール袋を置くと彼女が中を覗きに来る。

「ちょっと」

「見られたらまずいもんでも買ったの?あ」

 僕が気まずく思っていた原因のものを目敏く見つけた彼女は不服そうに僕を見た。

「なるほどね」

「まだ帰ってこないと思ってたから」

「ひとり分の肉まん」

「だって必要なものだけ買って帰ろうと思ってたらさ、レジのお姉さんが言ったんだ。今なら10%オフですよって。冷え込んできたしそんなこと言われたら買っちゃうじゃないか。君の分も買おうか考えたけど、無駄遣いだって怒るかもしれないし、まだ帰ってないだろうしって」

 そう、思って。

 つらつらと言い訳を述べた僕に彼女はくすりと笑う。

「別に責めてないじゃん。ああでも、」

 そして彼女はこう言った。

「悪いと思ってるなら半分ちょうだい」


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