第14話好きだよ

咲は、東四郎の家を訪ねた。


扉が開いて泣きながら愛が走り去った。


東四郎の母親に許可を取って東四郎の部屋の前で咲は勝手に話し始めた。


「あのさ、俺、好きな人いるんだよね。」


意外と明るい声だった。


「どんな人?」


ドキドキしながら聞いた。


「性格悪くて、口も悪い。俺より身長が高くて上から目線で悪口ばかり言う人。」


咲は、泣きたいのを必死で抑えた。


「へぇ。」


「だからさ、愛とは付き合っていけないんだよね。どこに行っても彼女が隣にいてくれたら楽しくて幸せなんだろうと思ってね。」


「ヒッキーが生意気。」


ボロボロ涙が流れる。


「その子に気持ち伝えられるようになったら学校来なよ。」


「うん。」


「来年は桜、二人で見ようね。」


「うん。そうだね。」


と東四郎は答えた。


愛の憔悴ぶりは激しかった。


髪の毛を金髪に染めてピアスをつけ


ギャルになってしまったのだ。


徐々に咲と渚と距離は離れていった。


元々、美少女だったが妖艶な女になった。友達もギャル系の友達がほとんどだった。


東四郎は、まだ引きこもりのままだ。


愛は、バスケのマネージャーを辞めてバイトを始めた。


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そんな中、咲は、田中大輝から告白された。


「あの…すみません。わたし好きな人がいるんです。」


「好きな人?」


田中大輝は、憧れの人だったはずなのに…。


咲は、今だに不登校男を待ってるなんて…わたしどうかしちゃったのかと頭を抱えた。


「そっか、了解。」


と大輝は、言ってその場から離れた。


家に帰ると光が珍しく一人で映画を観ていた。


「どうよ?ヒッキーの彼氏は?」


「まだ、彼氏じゃないし。」


「俺もヒッキーだから分かる。」


「何が?」


「さてね、秘密だよ。」


咲は、シャワーを浴びてスマホで東四郎に電話した。


【具合は、どう?】


【特には変わらないよ。】


【そろそろ学校来ないと留年してわたしが先輩になっちゃうよ。】


【それは、ヤバいよ。】


【じゃあ、来なさいよ!】


止めどなく話は続く。


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