第13話ABC
愛は、積極的に東四郎にアタックした。
練習も東四郎以外見ていない。
告白してくる男子がいると
「わたしは、加藤東四郎君が好きなんで。」とハッキリ断った。
引きこもりの東四郎が美少女の愛に惚れられいる。
学校中の男の敵になった。
東四郎は、全然、愛の気持ちに気がつく様子が無い。
仕方ない…引きこもりだしだったし…。
咲は休日に、リビングでゴロゴロしていた。
「姉ちゃん、彼氏の一人でも作ったら?」
光が、テレビを見ながら言ってきた。
「うるさいなー!」
「姉ちゃんは、身長を気にしすぎ。」
「仕方ないよ、男は身長が低くて瞳がパッチリしてる子が好きなんだよ。」
光は、ゲラゲラ笑って二階に逃げるように自室に入ってしまった。
「あー暇!」
玄関の扉を開けると、愛と東四郎が手を繋いで来た。
「カップル成立おめでとう。」
「ありがとう、咲。」
東四郎は、照れた顔をした。
リビングに二人を通してジュースで乾杯した。
「でも、加藤君、色々な男子に狙われそうだね。」
「うん、不幸の手紙が毎日たくさん下駄箱に入ってて困るよ。」
「仕方ないよ。愛は、学校のアイドルだもん。」
東四郎は、ため息をついた。
「大丈夫だよ。わたしが東四郎君を守るから。」
普通、逆だよね。
と咲は言いかけてやめた。
でも、何か不思議な気持ち…。
複雑で心がザワザワする。
そして、たまに東四郎と咲は、熱い視線を交わしていた。
羨ましい…。
そんな言葉が口から出て来そう。
二人が帰った後の脱力感は凄かった。
「だから、強がるなって言ったのに。」
光が言ってきた。
「仕方ないじゃん。恋愛には不器用なんだから。」
「姉ちゃん。逃げても結果はついてこないよ。」
咲は、二人の笑顔を思い出していた。
わたしが入る隙間なんてなかった。
でも…。
咲は、昇に部室で相談した。
「は?バカじゃねーの?今さらあんな公認カップルを崩せないだろ。」
「うるさいな!サルのくせに。」
「お前はな、口悪い、性格悪いんだからダメなんだよ。」
サルになんて相談したのが間違いだったらと咲は後悔していた。
「でも、お前にも良いところがある。」
「何?」
「内緒だよ。自分で気づけよ。」
何よ、サル…。
咲は、授業をサボって屋上で寝転んでいた。
「咲ちゃん。」
渚が、咲の顔を覗いてきた。
「びっくりした。」
「ごめんね。咲ちゃん何か悩んでるでしょう?」
「何で分かるの?」
「ズバリ、愛ちゃんの事でしょう?」
「うん…。」
全て咲は、渚に話した。
「そっか…。奪っちゃいなよ!」
「え?無理無理。」
「愛とは、親友だし。」
「ふーん、そうなんだ。」
初めて渚を小悪魔だと咲は思った。
「でもさ、東四郎君の事、考えると苦しくない?」
「うん、胸が痛いかな。」
「好きになってしまったか。友情か愛情か迷うよね。」
咲は、渚を見て違う人のように見えてきた。
占い師のように。
「渚はどうなの?」
「わたしは、まだ…。」
やっぱり自分の事となるとモジモジする。
「お互い辛いよね。」
「うん。」
渚は、いつもの渚に戻った。
「愛は、良いな。」
そんな事を言ってると、数日後に東四郎がまた引きこもりに戻った。
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