四季の短歌

この人は 白花愛すと 分かるのは

弥生半ばの 木蓮の庭


つぎつぎと 鶯ボールが はじけゆき

梅の花になる 春ぞ楽しき


ある日急に 美しくなる 若い娘(こ)は

ある日冬木に 桜咲くように


夢の国に 迷い込んだよう 彼の地では

空も大地も 桜色する


死ぬときは 桜のごとく 紅は

日毎まさりて 散る時ぞ華


蝉鳴けど 窓吹く風は モスクワの

寺院を抜けし 雪香る風


この夏も どこにも行かねど 坂の上の

入道雲に 潮風を見る


帰り遅れ 次の電車くる 5分間

夏の終わりの 潮風を聞く


鍬すすぎ 花の水汲む 段の池

子供ばしゃばしゃ サンダルのまま


すすきすすき あれが狐の しっぽなら

共に跳びはねる 秋は楽しき


春のように 人誘う気は なかりけり

冬が来るぞと 言う秋の風


バスの窓 野焼きの煙 さつま芋を

埋めて焼いた 年端いかぬ頃


日本にも 年に3日は ある白夜

中秋の月 青い影法師


帰り道 いつも見ている 秋ブラウス

こんな服を着て 恋がしてみたい


深すぎて 雲は灰色 自転車で         

駆け上りたい 空の中へと


東の空 オリオン座見える ようになる

祖父の家通い 秋から冬へ


雪国の 人の来る日に 雪積もり

コートをとれば 雪の粒降る


夜更けて 牡丹雪降らす 雪女

ふたりでいれば 唇熱し



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